私は素人ですが、以下の北一輝が天皇をどう考えていたのかについての記述に接したとき、目からうろこが落ち、それまでさまざまな北一輝論を読み漁りましたが、もう辞めました。
《北の天皇論は、現実には専制的な神聖君主として機能している天皇を、民主国のそれにふさわしいレヴェルまで、縮小させようとする必死な努力であった。そのように縮小された天皇が、英国皇帝と似たような制限立憲君主像に近づくのは、ある意味では理の当然といってよい。しかし北の天皇は、たんなる制限立憲君主にとどまるものではなかった。彼のなかには、制限立憲君主像とおなじ比重で、革命的皇帝のイメージがつねに存在していた。彼の革命的皇帝のイメージは、あるいは明治帝であり、あるいはナポレオンであった。彼はたしかに天皇機関説論者である。だが、天皇がたんなる立憲君主ではなく、革命帝国のシムボルである点で、北の天皇像は、久野収のいう支配エリートの申合せとしての機関説天皇とは、本質的な相違点をもっているというべきである》。(一部中略あり)
《舟は千来る万来る中で、私のまつ舟まだ見えぬ》:故郷佐渡の磯節にひっかけて自らの日本革命を待ち望んだ気持ちを読んだ複雑な多面体。この革命家を解剖した書として、最高峰を極めた一冊といっていいいでしょう。読者に沈潜と集中を求める書ですが、その価値があることをお約束します!