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北の海〈上〉 (新潮文庫)
 
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北の海〈上〉 (新潮文庫) [文庫]

井上 靖
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

幼少期から祖母に預けられ、家庭の雰囲気というものを知らずに育った洪作は、高校受験に失敗し、ひとり沼津で過ごす。両親がいる台北に行くべきだという周囲の意見をかわし、暇つぶしに母校へ柔道の練習に通ううちに、「練習量がすべてを決定する柔道」という四高柔道部員の言葉に魅了され、まだ入学もしていない金沢へ向かう。―『しろばんば』『夏草冬涛』につづく自伝的長編。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

井上 靖
1907‐1991。旭川市生れ。京都大学文学部哲学科卒業後、毎日新聞社に入社。戦後になって多くの小説を手掛け、1949(昭和24)年「闘牛」で芥川賞を受賞。’51年に退社して以降は、次々と名作を産み出す。「天平の甍」での芸術選奨(’57年)、「おろしや国酔夢譚」での日本文学大賞(’69年)、「孔子」での野間文芸賞(’89年)など受賞作多数。’76年文化勲章を受章した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 440ページ
  • 出版社: 新潮社 (2003/09)
  • ISBN-10: 4101063370
  • ISBN-13: 978-4101063379
  • 発売日: 2003/09
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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最も参考になったカスタマーレビュー
19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By eiger99
形式:文庫
 寮生として柔道漬けの日々を送っていた高校二年のとき初めて読んで以来、何度読み返した事だろう。
 一人の少年の成長記であるが、物語は主人公と同化したが如く淡々と進み、文章にさえ何の仕掛けもない。
 思春期という、エネルギーと自我がアンバランスな人生の一時期を迎える少年達にとって、ある種の指標になるはずである。
 また、元少年だった人にとっては、胸がしめつけられるような懐かしさ、恥ずかしさ、儚さを思い起こさせる起爆剤になると思う。

 それまでは何も考えず、ただ夢中で読み返していたが、ふと、この小説の素晴らしさを他人に説明できない自分に気付き愕然とした。
 元来、国文科に在籍しながら、作品を分解して鑑賞する事に意義を見出せず学生の本分をまっとうしなかったワシが、何を今更だが、「北の海」を説明できないという一点に於いて講義と演習に身を入れなかった事を悔いている。
 
 
 

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12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
中学校を卒業した洪作。浪人という肩身の狭い境遇をおくびともせず
柔道に打ち込みます。そんな洪作の前に現れた一人の高校生、蓮見。彼の柔道に心底惹かれ洪作は蓮見の学ぶ金沢へと旅立ちます。
この小説はしろばんば、夏草冬波に続く3部作目で井上靖氏の代表作。
私は3作品の中ではこの物語が一押しです。

読み進む内に揺れ動く洪作の気持ちが若かりし頃の自分とフィードバックされていき、なんとも表現しがたい甘ーい感触を思い出します。
よく晴れた休日の午後にお薦め。

このレビューは参考になりましたか?
19 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 上田
形式:文庫
旧制中学を卒業してぶらぶらしていた洪作はふとしたきっかけで四高の柔道に惹かれ、金沢へ行く。そしてまだ入学もしていない四高柔道部の個性的な面面と共に道場「無声堂」で汗を流し、金沢の町や海で遊ぶ。小説の筋を言えば基本的にそれだけである。

奇想天外な事件も、胸を焦がす大恋愛も、文学青年じみた退廃も一切無し。ただひたすら、爽やかに、おおらかに、ユーモラスに、輝かしい時が流れて行く。よく井上靖の小説に「悪人」は登場しないと言われるがこの作品でも然り、乱暴者や厳格な偏屈者は出て来るけれど、皆どこか憎めない。実在していたら会いたくなるような連中ばかりである。

もし、こんな青春の時がいつまでも続いたら……、洪作が両親の住む台北行きの船に乗り込むラスト・シーンに来ると、何度読み返してもそんな淡い憧憬と寂しさを覚えてしまうのは私だけであろうか。自伝的要素の強い作品だけに、井上靖自身もきっと、この作品の中にそういった青春への鎮魂歌としての感慨をこめていたに違いない。

個人的に「北の海」は「三四郎」と並んで大好きな青春小説で、日本文学には稀な清潔さを持った作品として非常に貴重な存在だと思う。「あすなろ物語」の悲哀に満ちた世界に惹かれた人にも、是非この小説を読んで頂きたい。

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