前作があまり印象に残らなかったので、久々の快作と思えました。
今回は登場人物がほとんど中学生でシリーズ完結への伏線もなし。 概要は映画『うる星やつら2』のブギーポップ・バージョンといったところです。まるで最初の刊行から12年経ってもいっこうに時間が進まない作品世界のセルフパロディのようです。
読者のほうが年をとってしまうと、凪やその他正義の味方になりたい人たちは、今の時代なにをするのだろうと思ってしまいます。 97年頃も暗い話題が持ち上がりましたが、一向に改善されず今は社会背景として受け入れられてしまっているので、上遠野作品の正義の味方になりたい人々の努力も上滑りしてしまい、小説自体に物足りない思いをすることもしばしです。
今回好印象をもてた要因は、登場人物のほとんどが正義などにかまわず自分のささやかな平穏のためにだけ動く、分相応で無理をしないところでしょうか。結果的にジョジョ第4部の吉良みたいな有り様になるのですが。