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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
包帯をまくという事,
By 理系の文系 (東京都江東区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書) (新書)
この作品はおそらく著者の代表作とはならないだろう.重厚なテーマで重く心に突き刺さる「永遠の仔」,家族という存在を様々な視点から鋭く描いた「家族狩り」の両作品には内容,分量とも遠く及ばない.それでも私はこの作品は大好きだ.
今の日本で,本当に大切な,皆が切実に考えなければならない問題は何なのか.文盲なC調系のマスコミに多くは望まない.それにしても,今現在報じるべきことは,IT社長の動向や,タレントだか政治家だかわからないような人々の言動や行動ではないだろう.また,取って付けた様に社会に潜む闇を第三者的な立場から論じた所で,一体それが何になると言うのか. 天童荒太はそんな私の持っている不満に対して一つの回答を示してくれた.完全な回答ではなく,明確でもないが,とても優しく,大切な回答だった.
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
痛みはどれも痛みなんだ,
By
レビュー対象商品: 包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書) (新書)
『巻けます、効きます。人によります』
人が心に傷を受けた場所に包帯を巻くことで、心の傷を少し癒す、という活動を行う「包帯クラブ」の結成の物語。 天童さんの『永遠の仔』を読んだとき、そのあまりにも理不尽な運命による痛みにもだえ苦しむ子供たちの姿に、心を揺さぶられた。 本作では、そのような「強大な運命の重圧による癒されがたい痛み」ではなく、僕たちが誰でも持っているような、でも本人にとっては無視しがたい「痛み」に光を投げかけている。 世界中には飢えや戦争、貧困に苦しんでいる人たちがいる。それに比べれば、こんな痛みなんてなんてこと無い・・・理屈ではそう分かっていても、今、ここで、自分が感じている痛みを癒すことはできない。 「こんなことで悩むなんて、若者はひ弱になった」「こんなことは戦争の苦しみに比べたらなんでもない」などと大人たちは「弱い」若者たちを責める。しかし、貧困とともに希望も失われてしまった現代社会で、若者たち(たぶん大人たちも)が抱える痛みは、戦争や病苦に匹敵する痛みなのかもしれない。 ちょっとした痛みにも耐えられない人の弱さ。でも、この弱さに向ける著者の視線は暖かだ。 天童さんの他の著作とは違い、あっという間に読める本。シリアスさは低めだが、多くのことを考えさせられる。特に主人公と同年代の方におすすめ。 なお、ラストの「ワラ」のツンデレ発言は必読。微笑ましい限りです。
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
なんという諦観,
By のいのい (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書) (新書)
包帯クラブの活動内容は「誰かが傷ついた場所に包帯を巻く」ただそれだけ。ただそれだけの行為ですが、これがびっくりするくらい心に効きます。本の中でいろんな「傷ついた場所」に包帯が巻かれていくのを読むと、まるで自分の心も一緒になって癒されていくよう。
それにしても、そもそも私たちはいつから「癒される」ことをこれほどまでに必要とし始めたのでしょうね。「傷つくこと」を極端に恐れるようになったのは一体いつからでしょう? 昔はきっともっと「戦っていた」はずです。傷つくことを恐れずに、大切なものを守るために、必死で。 でも「包帯クラブ」を結成したワラやタンシオたちは、戦うことを放棄し、ただひたすら傷口に包帯を巻くことを選択します。 なんという諦観。高校生にしてすでに、戦うことの無意味さに気づいてしまうほどの「苦い経験」をせざるを得ない現代の日本。胸がつまります。 大切なものを守ろうとして戦ってきたけれど、結局は大切なものをたくさん失ってしまった、そんなあなたに。この包帯はきっと効きますよ。
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