本書は利益について、その大切さについてとてもわかりやすくまとめられた本です。
管理会計の考え方を堅苦しくなく紹介しており、利益の方程式自体もシンプルでわかりやすいのですが、以下の2点の疑問からこの評価となりました。
・「粉もの屋に学べ」というサブキャッチと方程式の考えがマッチしていない。
・結果を見るのには使えるが、未来を予測する事業計画では使えない。
簡単に説明すると、”粉もの屋”はリピート・マーケティングなので、顧客のリピート回数が抜けているこの方程式では著しく利益が低くなってしまいます。というか、リピート抜きには新規顧客の獲得コストが重くのしかかって利益すら出ないはずです。同じ顧客数でも年間の平均リピート回数が5回くらいの“粉もの屋”では、5倍も利益が違ってくるわけですから。これはキツイ。方程式のなかの顧客数を延べ人数として考えられなくもないのですが、そうなると獲得コストが毎回のリピートに載ってくるわけで、これもまた経費がかかりすぎてしまう。
では、“粉もの屋”のほかの業種なら使えるかというと、たとえば居酒屋・化粧品・健康食品・クリーニング・食品・ガソリンスタンド・遊園地・スポーツビジネスなどの分野でも基本的にリピートビジネスなのでこの方程式が使えません。
一日の最後にその日の売上と経費を見比べながら利益を計算するのには使えなくもないのですが、“粉もの屋”に学んで、これから事業計画を考えようという実務家には使いものにならない方程式といえます。
実用書で紹介する方程式としては、ビジネスの構造への理解が欠けており、あまりに決定的な欠陥と感じましたので厳しい点となりました事をご理解ください。