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勝負勘 (角川oneテーマ21)
 
 

勝負勘 (角川oneテーマ21) [新書]

岡部 幸雄
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 720 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

究極の勝負師の「勝負勘」とは何か。
日本一の最多勝記録を持つ名騎手が勝負の駆け引き、究極の集中力の極意までを綴った初めての書き下ろし。すべては人生の生き方まで繋がる時代とともに生きるヒントを伝授。

内容(「BOOK」データベースより)

勝負の分かれ目での一瞬の判断力を磨く!「先」を読まれたら、必ず負ける!名騎手引退後初の著書。

登録情報

  • 新書: 205ページ
  • 出版社: 角川書店 (2006/09)
  • ISBN-10: 4047100609
  • ISBN-13: 978-4047100602
  • 発売日: 2006/09
  • 商品の寸法: 17.2 x 11 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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18 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 海援隊 VINE™ メンバー
形式:新書
武豊が登場する前、日本を代表するトップジョッキーだった岡部さんだが、昨年引退してから、調教師にもならず、主に執筆活動や評論家活動をしながら悠々自適の毎日を過ごしているようだ。今回の著作では、彼の経験の回顧と、それを通じて体得した成功の要因について述べている。騎手が他のプロフェッショナルと大きく異なる点は、まずチャンスを得るのが大変だということ。まず調教師や馬主から信頼されないと騎乗機会が増えず、さらに勝つチャンスの大きいよい馬がまわってこない。鶏卵の関係だが、こうやって好循環を得た一握りの騎手となるための努力は並大抵のものではなかったはず。肝心の、実際のレースで勝つ秘訣であるが、岡部さんの言葉では、「他の騎手よりも多くミスをしないこと」とすごくシンプルである。武豊は、そのミスが少なく、かつ、他の騎手のミスを見逃さず、すかさずそれに乗じることができる点で圧倒的に強いのだという。そして、レースは刻々と状況が変わるので、その状況変化に合わせて対応できる柔軟性こそが自分のミスを減らし、他人のミスに乗じるための必要能力であり、それが「勝負勘」ということなのだろう。印象的だったのは、馬も騎手もある程度長い目で育成すべきという意見。早熟型ですぐ結果を出すことが尊ばれるようになっていることを憂い、晩成型がきちんと育ちにくくなっているが、そうした仕組みは競馬界に限らず、世の中全体として考えなければいけないことである。
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勝負勘 2006/11/17
形式:新書
 騎手岡部幸雄が競馬場からいなくなって2年半ちょっと。ジョッキーの名騎乗にいつも魅了されてきた私にとって「岡部だったらどう乗るだろう…」とか「岡部だったらこうは乗らないだろう」とかつい考えてしまう私にとって1ページ1ページかみしめながら読んだ本です。

 この『勝負勘』は基本的には"真摯に自分の出来うる努力を当たり前にこなし続けていくこと"ここに56歳まで鞭を置くことなくトップに君臨し続けた孤高の名手にしか見ることの出来ない風景があったのだと思います。
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形式:新書
私は、迷うことなくこの依頼を引き受けた。
一度限りの騎乗ということは、勝つことが義務付けられた騎乗だともいえる。
もちろん、何が起こるか分からない競馬の世界で、勝利を確約できるはずはない。
ここで結果を出すことは重要な意味を持っていた。

競馬というものは、出たとこ勝負のように思えるが、決してそうではない。
レースごとに、「この馬には、この騎手が乗っているのでこう動いて、こういうレース展開になるだろう」とシュミレーションを立てていく。
そこで、自分が騎乗する馬の実力がほかの馬より劣ると考えられたなら、「どうすればその差を埋められるか」と思案する。
レースをどのように進めていくかをシュミレーションし、入念なプランを練り、徹底的にイメージする。

だが、レース前にどれだけ緻密なシュミレーションを立てても、その通りにレースが進むことはない。実際のレースの中では、予想に反する様々な状況が生れてくるからだ。そして、騎手が局面に応じてプランを修正して行く。ここで瞬間的な判断力と即決力、すなわち究極の勝負勘が求められることになる。

勝負というものは、相手があってのものなので、いくらこちらが最高のレースをしていても、相手にそれ以上のレースをされてしまえば、勝利を手中にすることは難しい。このレースでは、タマモクロスよりも早く最後の直線に入ることが、勝負の分かれ目だった。実力が上の相手に勝つために、最高のコース取りと最高のペース配分、そして最高のタイミングの仕掛けができたからこそ、この勝利を飾ることができたのである。
このギリギリの差の勝利は、入念な準備と、それまでに私が騎乗して来たレースで得た経験と勝負勘によって守ることができたものだった。

勝敗は何時でも様々な要因が絡み合って決する。そこで問われるのが勝負勘なのだ。

勝つレースをいかに組み立てるか、この段階では、レースがどのように進んでいくかを予想するだけでなく、そのレースの中で、いかに自分の馬を勝たせるかを考える。その時のポイントはやはり、「馬や騎手の長所や短所」を見極めることである。もちろん、自分や自分が乗る馬も含めて。それぞれの長所・短所を考えながら、頭の中でレースを動かしていく点では社会の縮図を作る感覚に似ているかもしれない。

だが、いずれの場合も、実際のレースにおいては自分の描いたイメージ通りの騎乗をすることに固執しない。これは一流と言われる騎手ほどそうだと思う。イメージに固執しすぎると、状況に応じた臨機応変な乗り方ができなくなる。一つのレースに出走した同じ18頭に同じ騎手が乗り、同じコンディションで10回レースをしたとしても、レースは10回とも性質が異なるものになるからだ。だから、騎手はレース前に組み立てたシュミレーションに固執しない。スタートからゴールまで、どの局面においても勝負を分けるポイントが生れるからだ。勝利を獲得するポイントはその瞬間に選択しなければならない。レースは生き物である。そして勝負事というのは、人間が考えている通りにはいかないものだ。

レース中は理屈や理論で考えている余裕はない。そんなことをしていれば、目の前に開いている進路もなくなり、選択しそのものが消滅してしまうケースがほとんどだからだ。また勝敗を左右する局面において「どうしようか」と悩みながら選択していても、たいていはいい結果が出ない。
選択肢が出された瞬間に、「これだ」と確信に近い答えがはじき出されてこそ、いい結果につながる。それは、やはり直感が導き出しているとしか言いようがない。

天才でなくても、勝負勘は得られる。その手がかりが努力と経験だと書くと当たり前だと言われ、笑われるかもしれない。
ただ、何かを焦ってやろうとしたり、背伸びしてやろうとしたりしても身に付かない。

後悔は残さないよう、与えられたことを、やれることをやっていくいかない。一つのレースに出ることができたなら、その1レースの中から、できるだけ多くものを吸収しようと願い、負けたレースも無駄にしてしまわないようにどうすればいいかを考えた。天才ではない人間が勝負勘を得ようと思えば、そんな愚直な積み重ねでしかないはずだ。

事前に情報を得て、頭にインプットしておくことは重要ではあるものの、その情報で先入観や固定観念を作ってしまうと、状況ごとの選択範囲が絞られてしまう。情報は大切だが、情報は常に正しいとは限らない。たとえ正しかったとしても、それにこだわりすぎては失敗につながる。情報は情報として、しっかりと把握して行く一方で、情報だけに判断を支配されない柔軟な姿勢でいなければならない。頭の中を白紙のイメージに近づけるのは容易ではないだろう。しかし、事前に得た情報を頭の真中に置くのではなく、片隅にとどめておくような感覚になれたなら、それだけでも、有効になってくる。

一期一会。私にとって、シンボリルドルフとの出会いは、私にとって本当に大きなことだった。騎手生活16年目にして、ルドルフと出会い、ルドルフが引退した後の19年間はルドルフを追いかけ続けた。ルドルフとの出会いは、まぎれもなく私の人生を変えたのである。

ルドルフとの出会いが、どうして私の人生に大きな影響を与えたかと言うと、一言で言うなら、ルドルフによって、「最高」というものを知ったからである。最高の馬に乗ることによって、「最高の馬とはどういうものか」「最高のレースとはどういうものか」を知ることができたのである。
最高を知ってこそ、最高を目指せるのだ。どういうレースが最高なのかを知っていれば、レースにおける乗り方がまるで違ってくる。一度、最高を知っておけば、最高とは言えない馬に乗った時にも、その馬には何が欠けているのかがわかる。そうなれば、レースでその馬の欠点を補う形で乗ることができるし、馬の成長を考えた時にも、足りないものを埋めていく方法を考えやすくなるのである。最高を知ることの大切さ

いい馬との出会いは、騎手にとっての財産であり、栄養源である。自分に何かを教えてくれる馬と出会い、こうした場面に直面するターニングポイントは必ず訪れる。自分にとっての大切な時期を見逃さず、どれだけのものを吸収できるかによって「その後」は大きく変わってくるのである。実際、私の騎手としての成績もルドルフと出会って以来、飛躍的に伸びていったのは事実である。

自分にとっての大切な時期は何時でも訪れるわけではない。その時期を見逃さず、いかに過ごせるかが重要なのである。チャンスというものは誰にでも訪れる。一生を終えようとしたときに、そんなものなかったという人だっているかもしれないが、それは、チャンスが訪れていることに気がつかなかったか、それを生かすことに失敗しただけではないかと思う。

100%本音で語った方がいい時もあれば、そうはしない方がいい時もある。悪気のない一言が反感を買ってしまい、騎乗馬を一気に減らしてしまうことがあるのも事実だ。そう書くと、つまらない世界だと思われるかもしれないが、どんな世界においても善しあしは別にして、その世界のルールは存在している。そうした中で生きていくための呼吸は、やはり、縦社会の中で上の世代から学べるものも多いと思う。また、万が一不測の事態に陥ったとしても、先輩によって助けられる部分もあるはずだ。

がむしゃらさが必要な時期もあれば、そうでない時期もある。そして、どんな時でも我慢できなければ、運を引き寄せることもできない。
ニュースなどを見ていても、実感できるように、昨日の勝ち組が一転して塀の向こう側に入れられてしまうこともあれば、その逆もある。一夜にして成功をおさめるというケースはそれほど多くはないにしても、少しずつ少しずつ成功への道を歩んでいる人などはどこにでもいるはずだ。大切なのは、一歩一歩進んでいくことを大切にする気持ちだと思う。

他の騎手から手の内を読まれるようになっているのではどうしようもない。癖を見抜かれてはそれで終わりともいえる世界なので、「あいつは何をするかわからない」と相手を惑わせるようにしなければならない。どんな世界でも、いい意味でも悪い意味でも、「あいつならこうしてくるだろう」と予想されるようになったら、驚きも感動も与えない。先を読まれたならば必ず負ける。これは競馬に限らず、どの世界でも同じはずだ。常に相手に警戒感を与えておくことができなければ、そもそも勝負にさえならないのである。

武豊騎手の何がすごいと言えば、とにかく隙がないレースをすることである。自分が隙を見せないだけでなく、相手が見せるちょっとした隙も見逃さない。レースぶりにそつがなく、周囲を良く見ることができているのだ。意外に思われる人もいるかもしれないが、彼の最大の武器はミスをしないことだ。実を言うと、レース中の騎乗というものは、加点法でなく、減点法で考えるのが適している。騎手たちはレース中によくミスをする。もちろんここでいうミスは、単純なミスから判断ミスも入ってくるが、単純な話、ミスをしないことが勝利への一番の近道なのである。レースにおいては勝負の分かれ目は次々と現れる。そんな分岐点の一つ一つで、いかにミスチョイスをしないかで勝負は決まる。確率的なことでいえば、どこか一つの分岐点でミスをすれば、それを取り返すための分岐点が現れる可能性は低くなる。スタートに失敗してで遅れたりしたら、かなり不利になる。だが、出遅れた瞬間にすぐ次の選択をしなければいけないのだ。ただし、長距離レースでは、ミスをどこかで取り返せる可能性が高くなる。私の場合は長距離レースで結果を出すことが多かった。

私がデビューしたばかりの頃は、レース中に働かせるべき直感などは持ち合わせていなかった。それでも、いつしか、それなりに直感を働かせるようになっていたわけだが、それをできるようにしていたのが経験である。1割から2割といった勝率しか挙げられていなくても、年間、何百レースにも騎乗していた中では、直感が求められる局面が数多くあった。それぞれの局面においては、正しい選択ができたこともあれば、間違った選択をしたこともある。だが、ミスを重ねながらも積み上げてきた経験がものをいう。それらの経験によって、勝負所ともいうべき場面に遭遇した時には、「こちらを選択すべきだ」という指令が出されるようになるのである。理屈や理論、あるいは、成功と失敗の確率が頭に浮かびあがってくるわけではない。脳に信号を送られてくるような感覚とでも言えばいいだろうか。「体で覚える感覚」にも近い。一瞬の判断で頭を悩ませている暇などないのだから、とっさの状況に応じた正しい選択をするように、体が勝手に動くようになっているのだ。また、経験を積むことでレース中に周囲が良く見えるようにもなってきて、先を読むことができるようになっていくのである。

外国人騎手や地方競馬の所属騎手が好成績をあげていることに対しては、「馬を追う技術が高い」などと評価する声も聞かれるが、そうした技術の差よりも大きいのは経験である。アメリカの騎手などは、19歳の1年間で昼夜を掛け持ちでレースに乗っていたそうだ。そうやって、与えられた時間は同じでも「経験の密度」を高くしていくことは可能である。彼はこの1年間をすごしたのちに、20歳という若さで世界中で最も騎手のレベルが高い激戦区と言えるカリフォルニアに主戦場を移し、時間をかけることもなくトップジョッキーに躍り出ている。こうして経験を積み上げていけば、局面ごとに脳に送られてくる信号の質がそれだけ高いものになるのは当然だろう。勝負勘を育てるのは経験である。ただし、レース中にどれだけ集中できているかといったことも含めて、意識の持ち方次第で経験知の差を埋めることができるのもまた確かだ。100の経験を100の力にできるものもいれば、20の力にしかできないものもいる。逆に、20の経験を100の経験に近い力に変えられるものもいるだろう。私が現役時代にずっと実践していたように、レースが終わった後、スタートからゴールまでの状況を何度も頭に思い返してみると言ったことを習慣化しているだけでも大きく変わってくるものだ。何かをしようとするときに、それによってどれだけのものを得ようとしているか。そうした気持ちが、才能や経験の差を埋めていく。私は自分が天才でなかったからこそ、そういうことを肌で感じてこれたのである。

Take It Easy. どれだけ何かを懸命に何かをしていても、24時間、365日、神経を張り詰めていたのでは、身も心も持つわけがない。無理をして、仮面をかぶっていても仕方がない。どんな世界においても力を入れすぎず、自然体でこなしていくことが大切なはずだ。私自身、そうでなければ、38年間も騎手生活を続けてこれなかっただろう。今、できることだけをやっていればいい。そのうちいいことがきっとあるさ。
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