五巻までがすばらしかったので六巻は読むのが惜しくてとっておいたのだが、これはちょうど中外商業連載中に敗戦を迎えて、GHQに媚びながら書いているから、大村益次郎を軍国主義の鼻祖としてだいぶ悪く書いていて、しかも、ああいう軍事で押していく奴が出ると日本は将来大変なことになるなぞと、あからさまな戦後への迎合があって白ける。おかげで大村と対立した海江田武次(信義)はひどいいい人間に描かれていて、しかも明治二年の大村暗殺までは書いてないが、これは海江田が黒幕だから、司馬『花神』を知る人には、ありゃありゃという感じだ。だいたい生麦事件で真っ先に斬りつけたのはこの海江田(有村俊斎)である。つまり最後に来て思想が変わってしまったわけで、竜頭蛇尾であった。