著者は産業医で、その経験を活かし、短い期間で離職する事が多い若者の分析をしたもの。しかし、「勝手に絶望する若者」という題名からしてキツイだろう。ちなみに私はオジさん世代である。
まず、若者が夢を見過ぎて、現実とのギャップに苦しむという論がなされるが、これは世の常で今に始まった事ではない。少し前は就職氷河期で、それがその傾向を強めているとも言えるが、私が就職した時も不況で現在が特別と言う訳ではないだろう。若者が夢を見るのは自由で、後はその程度問題と、実現へのロードマップが描けるかという問題だろう。続いて、日本の企業においてもアメリカ流の成果主義が取り入れられて、社内に余裕がなくなり、新人教育が疎かになっているという指摘はほぼ正しいと思う。が、この風潮は新入社員だけでなく、社員全員に対して当て嵌まるのである。鬱病の発症が40代以降に多い事がこれを象徴しており、家族を養わねばという義務感さえ無ければ、オジさんも会社を辞めたいのである。「絶望している」のはむしろオジさん世代かもしれず、若者だけに矛先を向ける論調には首を傾げざるを得ない。また著者は、「絶望している」現在の若者の次の世代には期待感を持っているようだが、これも論拠が薄い。「絶望している」現在の若者を突き放しておいて、次の世代に期待すると言うのでは、著者自身が前向きとは言えない。
現在の社会を覆う閉塞感を打破するには、若者だけを責めても単なる批判に過ぎず建設的ではない。若者を含めて、今の社会に対処する前向きな提言が欲しかった。