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44 人中、39人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ちょっと情緒的な科学啓蒙本,
By hawaiijoho "hawaiijoho" (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか (単行本)
雑誌「ソトコト」に連載されたエッセイをまとめたものです。章ごとの関連性は薄く、各章独立しています。タイトルの「動的平衡(Dynamic equilibrium)」は、第8章の「生命は分子の『よどみ』」から来ているようです。動的平衡がなんたるかを、語るためにすべての章を割いているわけではなく、科学に興味を抱かせようと、エンターテイメント性のあるトピックを書いていたら、こんな本になったという印象を受けました。 第8章をレビューします。 「動的平衡」はシェーンハイマーが名づけた言葉です。彼は、アイソトープ標識をつけた食べ物を与え、分子の行方をトレースしていきました。分かったことは、「生体を構成している分子は、すべて高速で分解され、食物として摂取した分子と置き換えられている」「わたしたちの身体は分子的な実体としては、数か月前の自分とはまったく別物になっている」ということでした。 これを分かりやすく詩的にこう表現しています(この表現方法には、芸術的な感性を感じました)。 「そこにあるのは、流れそのものでしかない。その流れの中で、私たちの身体は変わりつつ、かろうじて一定の状態を保っている。その流れ自体が『生きている』ということなのである」 その後、彼はライアル・ワトソンをとりあげ、科学的な世界から、情緒的な世界観に移行していきます。この部分からは、ガチガチな科学者からは批判を受けるところでしょう。しかし、僕にとっては、この部分が一番、胸に響きました。大事を成す科学者は、論理的な顔と、哲学を追う宗教家のような顔をもつ傾向があります。科学的な視点に固執せず、心の遊びの部分が、グレートワークを成し遂げるのかもしれません。 この部分があることで、この本が「一般的な科学啓蒙本」に「ちょっとグレートな付加価値」がついたと思っています。だから、一般読者から、これほどまでに絶賛されているのでしょう。「一般的な科学啓蒙本」の部分だけを読みたいのなら、リチャード・ドーキンスがおすすめです。
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
自然に逆らわず、十分な栄養とエネルギーをとり、エイジングと共存することこそ最も賢いあり方であるという著者の思いは、生命を探求してきた著者だからこそ言える重い言葉である。,
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レビュー対象商品: 動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか (単行本)
本書は、生物学者である著者が生命、自然、環境などすべてのものは間断なく流れながら絶妙なバランスをとっているという切り口から著したエッセイ集である。それは、生物は機械のような部品の集合体ではなく、いくら人間が制御しようとしても手の届かないところにあるという著者のあきらめに似た考えである。 たとえば、記憶はビデオテープのように取り出せるようなものではなく、記憶物質というようなものも存在していないことを明らかにしていく。 また、生命を形づくっているたんぱく質は、今や試験管の中で全て合成できるが、それだけでは生命はつくることはできない。 生命を形作る細胞は時間とともに全て新しいものと置き換えられ、「生きている」とは、時間とともに変化していく中での微妙なバランスの上に成り立っているもの=動的な平衡によって、エントロピー増大の法則と折り合いをつけている。 自然に逆らわず、十分な栄養とエネルギーをとり、エイジングと共存することこそ最も賢いあり方であるという著者の思いは、生命を探求してきた著者だからこそ言える重い言葉である。 さらにミートホープの食肉偽装事件の社長のコメントをとりあげ、今の我が国の消費者のひたすら安さを求める姿勢を批判したり、食品添加物の問題、遺伝子組み換え作物の問題、ダイエットやコラーゲンにも触れるなど現代社会の風潮にまで著者の考えを切り込んだ意欲作である。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
生命の不思議を再認識する本,
By 敬天愛人 (アメリカ ) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか (単行本)
20年前、大学の専攻が生命で、そのとき聞いた「手はなぜ手の形になるのか?」という講義は忘れられない。あまりにも複雑な理論でとてもそんな自然科学はありえないと思ったから。その後も、DNAは分子なのに、なぜ、生命は躍動するのか?、生物はなぜエントロピーの法則に反して複雑な形態を維持しているのか、など、生命の不思議に取り付かれたままだった。そういう生命の不思議を、福岡伸一先生は、興味深く描いている。本自身はひとつの緩やかなテーマが背景にあるが、ひとつひとつの章は独立したテーマで、どこから読んでもよいと思う。ただ、全体のテーマは最終章に描かれるデカルトへのアンチテーゼなのだろう。それは、仏陀が言う、生きとし生きるものはすべてつながっている、という発想や、宮崎駿、インディアンの世界にもある何かを感じる。
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