川端康雄訳は一部が、高校生向けの『理想の教室《動物農場》ことば・政治・歌』(みすず書房,2005)に出ていて、それまでの訳と異なり、「です・ます」体で訳されているのが、特徴でした。
その意図はこのディストピア小説が「A Fairy Story」と題されており、マザー・グースにも連なる「おとぎばなし」のスタイルを持っていることを表すためだと説明されています。批判だけではなく、作者オーウェルがこめた希望を感じさせることができるのではないかという挑戦でもありました。その意図は結構実現されているように読めました。声を出して読みやすい文体になっています。
付録の「出版の自由」「ウクライナ語版のための序文」も『動物農場』を読むためのオーウェル自身の書いた必読文献ですし、川端氏の「解説」も、みすず書房本の要約で読み応えがあります。また、註は詳細に付されていて、既に角川文庫本を持っている人でも役にたちます。
ハラス&バチュラーのアニメ版『動物農場』もなかなかの傑作です。村上春樹の『1Q84』が話題になっている昨今、オーウェルのエッセィや『1984』も再評価されますように。ちなみに20世紀のベスト100小説(大型書店ウォーターストーンが実施)にジョイス『ユリシーズ』(4位)を押えてオーウェル『1984年』(2位)・『動物農場』(3位)が選ばれています。1位はトールキン『指輪物語』。