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17 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
キャッチーなテーマによるアナール派史観の入門書,
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レビュー対象商品: 動物裁判 (講談社現代新書) (新書)
13~18世紀の西欧で実際に行われていた奇異な「動物裁判」をモチーフに、アナール派的史観によるアプローチによって、アニミズムの駆逐とキリスト教社会成立を背景にして、当時の法が対象にしていたものや社会風俗などが描かれています。ただ、Reviewerの方が指摘されているように、説明の方向性や主張が曖昧な部分も否定できませんので、新書というフォーマットの性質上、あくまでも読み物あるいは西欧中世の社会史の導入書という位置付けですね。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
キリスト教の発展に必要だった手続き,
By DJ - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 動物裁判 (講談社現代新書) (新書)
現代では悪いことをした動物を人間が裁判で裁くなどまったく考えられないことですが、中世ヨーロッパではそれが当たり前に行われていたという驚くべき歴史があるのです。本書はその動物裁判の実体と、その歴史学的・文化的・宗教的背景について考察したものです。中世ヨーロッパでは実に多くの動物が、人間に危害を加えた罪で裁判にかけられ、逆さ吊りや斬首といった残酷な方法(当時としては普通の方法だと思いますが)で処刑されていました。また人間を殺した罪だけでなく、獣姦の相手となった動物さえ理不尽なことに罪に問われ、獣姦を犯した人間とともに処刑されていました。それどころか、魔術を使ったという疑いだけで処刑された動物もいました。現代の常識で考えれば無茶苦茶な話ですが、当時の常識ではそれが至極当然のことであり、またそれは文化的・宗教的にどうしても行われなければならない手続きでもあったのです。 本書によれば、動物裁判は原始的アニミズムを基盤とする民間信仰をキリスト教の教義にいったん取り込んだ上で排除し、結果的に民間信仰を駆逐しキリスト教を民間に根付かせるための手続きであったということです。つまり、もともとはヨーロッパでも日本のようにたくさんの神がいて動物はその化身や使いだったのですが、キリスト教がそのような信仰を排除し唯一絶対的な神を民衆に信仰させるには、どうしても民衆の前でキリスト教が動物をねじ伏せる必要があった、その方法が裁判であり破門であり処刑であったということです。 そしてまた動物裁判は、人類が自然を畏怖の対象から支配の対象へと転換させていく過程で生まれた、いわば必要悪でもありました。キリスト教では人間が万物の霊長であり最も神に近い生き物で、他の生き物は人間に隷属する存在でしかありません。しかしながら、実際のところ野生の動物は人間にとって脅威でした。その脅威を克服するため、人間は人間の法律やその手続きを自然にも適用することで、自然を支配できる力をも得た(気になった)のです。 最後に本書では、自然を克服するというよりは自然と共生して生きてきた日本人には、動物を法で裁くという発想自体生まれ得なかったとしています。まあ、石ころにさえ神が宿っていると考えた日本人には、人間が生き物の中でいちばん偉いという発想はなじみませんからね。 理→医と完全に理系の学歴を歩んできた私は常日頃から、歴史の研究って何をしているんだろうと疑問に思っていました。特に、実験のできる科学や実践科学であり常に結果の出る医学と違い、過去を直接見て確かめる方法のない歴史学は確実に正解を得る方法がないわけですから、仮説を立てたところでそれをどうやって証明するのか不思議でした。しかし本書を読んでいるうちに、その疑問は少しずつ氷解し始めました。研究対象を超えて、歴史学研究とはいかなるものかを気づかせてくれた本書は、内容が優れていることはもちろん、歴史学の啓蒙書としても十分に優れていると感じました。
22 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
歴史の相対化とは?,
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レビュー対象商品: 動物裁判 (講談社現代新書) (新書)
~フランスにいた著者らしく、この本は、「『歴史を相対化する』とはどういうことか」というものだ。「動物裁判」という、全く非現代的な対象を初めて知ったとき、万人の感想は概ね同じであろうと想像される。しかし、それは私たちの、極めて現代的な感覚に「侵された」ものである。歴史学は、そういった現代の絶対化から逃れ、過去を相対化し、現代を相対~~化することができよう。そこに、社会科学としての歴史学の位置もあるのだ。 しかし、難を付けずにはいられない本であった。 言うならば、対象の面白さによって持って~~いる本である。~
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