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私がそのときまでに得ていた教訓、人とうまく付き合うための手段は「距離を保つ」ことでした。それに従い人と出会う度にこの人とはどれだけの距離を測ろうかと考えたものです。世の中には分かり合えない人が溢れているものと諦めていましたから。
ところが1年すると、誰にも頼らないように生きるなんてとんでもないことだと思うようになっていました。私は大学の1年を新たな友情の発見ではなく、ただ他人と距離を保つことをして過ごしてしまったのです。行き過ぎた保身ですね。私は人とのコミュニケーションを拒んでいました。それから大人になることにも抵抗していました。ずるいことですが、子どもでいるほうがずっと楽でしょう?大人よりも責任が軽くて。
『動物園の鳥』を読みながら私は何度も泣きました。同じ言語を話していても、言葉が通じない相手に会ってきて、私は人と分かり合う努力をしなくなったことに気付きました。人とコミュニケーションを取ろうとすることが生きることだとすると、私は生きることを放棄していたということになります。それはご免です。
大学の1年で学んだように、私は一人では生きられません。世界の何処かにたった一人で人生を闊歩できる人がいたとしても、私はその人の様にはなれません。自分がそんなに強くなかったことを知ったので、素直に人に当たっていこうかなと、考えました。そして、それが大人になるってことなんだろうなと思いました。
涙が溢れる場面が次から次へと巡ってきて、エピローグも、伊藤清彦さんの解説までも泣きながら読んで、私は心配になっていました。明日、私は明るい気持ちでこの本のことを思い出せるのだろうかと。かつて悲しみを引きずるような本に出会い、しばらくの間沈んでいた日のことを思い出しました。
でも、違うんですね。私はこの本の構成に感謝します。最後の1ページまで読み終えて、とても晴れやかな気持ちで本を閉じることができました。
私には何でもなかった昨日、隣にいた誰かが私のせいで心を痛めたかもしれない。けれど私は気付かない。
日常にはそういうことが隠されているかもしれません。相手のことは分かりません。だからこそ考えるのですよね。分かり合う努力です。そのことを語ってくれたこの本は忘れたくない一冊になりました。
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