1999年に単行本が出版された後、動物園・水族館関係者の「バイブル」とまで言われ、古書店で8,000円の高値を付けられたこともあるらしい噂の名著が、2000年以降の日本国内の動物園の最新動向も盛り込んで文庫化。単に動物園のあり方を考えさせられるだけではなくて、広く環境保全や環境教育全般に関して、深く考えさせられる内容です。
米国の動物園における様々な新しい試みの実例が、35ヶ所の動物園、120人以上へのインタビューを通じて、豊富に紹介されていますが、野生動物や自然環境と人間との関わり方の問題は、国や地域の違いを超えて共通です。本書の中にも「メガ・ズーとしての世界」という小見出しの付けられた段落がありますが、今や人間の活動から完全に隔絶された野生の王国などというものはこの世界中に一箇所も存在しないのですから、つまりは我々現代人の全ては、地球という大きな動物園の中に住んでいるようなもの。となれば、その動物園のあり方を考える本書は、現代という時代にすむ全ての人間にとって、必読の教科書と言うべきでしょう。この本を読むことで我々はようやく、現在の地球生態系の中で自分自身が置かれているポジショニングを理解し、地球環境や生態系に対して負うべき責任を自覚することが出来るようになるのではないかと思います。
「動物園にできること」は、そのまま「人間たちにできること」。そう捉え直して読み進んで行くと、本書を「動物園・水族館関係者だけのバイブル」にしておいてはいけない。と、誰もが感じることと思います。
久々に感動しました。