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ただ、その状況に対する著者自身の分析には、納得できないところが多々ありました。
たとえば、オタク文化のメルクマールとして、「大きな物語」に依拠しないということを挙げていますが、もともと、芸術というものは(ファイン・アートにしろポップ・アートにしろ)大きな物語に依存してトップダウン的作られるような作品は(一部の宗教芸術やプロレタリア芸術を除いて)まれで、むしろ、生活実感へのこだわりからボトムアップ的に作られて、逆に大きな物語を脅かしてしまうようなものの方が多かったのではないでしょうか。
また、「萌??要素」へのこだわりや、引用を意識しない相互影響というものは、それほど現代オタク特有の現象でしょうか。たとえば、印象派の絵画に浮世絵の技法がとりいれられ、さらにそこから日本画が影響を受けたりといった現象と、質的に決定的な違いがあるのでしょうか。
また、現代オタクが本当に「動物化」しているのなら、なぜ特定の萌え要素だけに満足せず、それらを組み合わせて果てしなく戯れようとするのでしょうか。むしろ、彼らにはまだ物語への要求が残っているけれども、信じるに足る物語が見出せないために、その戯れは生活実感を超えたところまで飛翔できない、という解釈のほうが説得的ではないでしょうか。
おそらく著者には、オタクこそがポストモダンの現在形だ、という強い直感があるのでしょうけ!れど、少なくとも、そのような直感を共有しない私にとっては、著者の議論は、論理的にも実証的にも、説得的とは思えませんでした。
むしろ、私は、昔から行われてきたことが、テクノロジーの発達によって、高速かつ大規模に行われるようになっただけではないか、という気がしているのですが。。。
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