心・意識というものがヒト特有のものであるのか? それならば意識の研究を動物で行うことには意味があることなのだろうか? そういった素朴な疑問にストレートに挑戦している本である。
動物たちが非常に単純な一種の「アルゴリズム」で動いているに過ぎないのに、それを観察するヒトのほうが、その複雑(そうに見える)行動に「意識」を見出してしまう。
他のチンパンジーに横取りされないように自分の餌をいかに隠すかの知恵比べ、蜂の巣の移動に伴う情報伝達の方法、アレックスと呼ばれた数を理解するオウム・・・
これらは「意識」のなせる業であるように思われる。が、そこには実験する側、観察する側の主観が入りうる。動物実験を行ううえでの難しさも本書から読み取ることが出来るだろう。
では結論として動物には心があるのか? 筆者は大なり小なり心は動物にもある、と結論する。これは非常に驚くべき(そして挑戦的な)主張である。その結論を引き出すまでの議論は本書を読んでいただきたい。きっと面白いはずである。
話の論理展開もスムーズで、理解しやすく、心・意識に興味がある人ばかりではなく、動物が好きな人にもぜひ手に取っていただきたい一冊である。