◆「動機、そして沈黙」
認知症を患い、十三年にも及ぶ介護を経て義母が死に、その葬儀があった日の夜。
来年、警察を定年する霧島は、妻の瑞恵とリビングでくつろいでいた。
その時霧島は、未解決の連続殺人事件が、あと二時間あまりで時効
を迎えることを思い出し、おもむろに事件について話し始める……。
『退職刑事』スタイルのディスカッションを主軸にした
《ミッシング・リンク》もの、という作者十八番の形式。
霧島家も、ジャックの標的となる可能性があったのに、
なぜか被害に遭わなかったことへの理由付けが秀逸。
入念な前フリがあるため、犯人については大方の読者の予想通りと思いますが、
結末では、猟奇でも怪異でもない、もっと生々しい恐怖が、立ち上がってきます。
※他の短編については「コメント」をご参照ください。