実名報道される企業には痛みを伴う企画だが、読者の支持も高い。記憶に新しいみずほフィナンシャルグループの情報システム障害では、『システム障害はなぜ起きたか―みずほの教訓』(日経BP社)を緊急出版し、原因の多角的究明を試みるなど、その成果が評価されている。
本書ではトラブルに遭遇した企業の事例を大規模システム、中堅・中小企業、海外の企業に大別して示す。過去の事例ということで企業の実名は伏せられている。しかし、完成したばかりの新基幹系システムを廃棄し、16億円の特別損失として処理せざるを得なかったメーカーの事例、300億円を投じた新システム開発を打ち切った大手通信会社の事例が赤裸々に報告されている。我が国コンピュータ裏面史として読み解きたい。
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元々システム開発の現場にいない人の総論は、まさに「総論」でしかなく、そりゃそうだよねと酒の席でも言える話以上に感じれないです。その後は200ページ弱に50の事例、どう考えてもページ数が足りない。結果ひとつひとつがすごく薄っぺらくて、本当に結論しかなく、「お話」以上とするにはいくら何でも弱すぎます。しかも文章から推測できる程度の中途半端な匿名、さらに話が具体性を欠いてしまっています。(加えてひどい事に一部の海外ベンダーだけ実名かつあまり印象が悪くならないような書き方で、まるで宣伝かと思いました。)
構成も中途半端で、昔の中小企業と最近の大企業の事例だとほとんどの場合視点が全く違うのに、それを並べられても読んでいる方は混乱するだけで、結局説得力を失っています。また80年代のEUC、PC化、ユーザのリテラシー向上が進んでなかったころの事例から今の読者への結論を直接引き出すのはあまりにも無謀ではないかという印象も受けます。
何か読んでいて「若いコンサルタントが作るバインダ」みたいに見えました。この本から何か得られるモノがあったかというと、結局ないというのが結論です。結局毎週日経コンピュータでコラムを読んで、というのがメッセージなのでしょうか。コンピュータシステムのデベロッパーの立場では話のネタにできるので星2つつけましたが、何か深刻に学ぼうとするユーザの方だと星1つの印象です。
特に、「必要な人材や期間が準備されず、合理的な判断に基づかずに、開発を推進すると、どういう結果をまねくか」ということを、エグゼクティブ層の方に認識していただきたいと思います。同僚のSEは失敗プロジェクトのために、1年間で10日しか休みませんでしたし、プロジェクト終了後に急死された方もいます。仕様の検討中に殴り合いの喧嘩寸前までいったり、ノイローゼになった方もいます。
この本をきっかけにして、開発の現場部隊に安直な竹槍精神と特攻隊精神を要求するエグゼクティブ層に対し、社会的責任追求の文化を日本がもつようになることを期待します。
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