精神科医の和田秀樹の本は、たしかかなり初期から読んでいる。こちらも受験生で、彼の受験法の本が話題になり始めた頃だったと思う。その後の彼は、社会論、人生論、心理学、学習法などの本を数多く書いている。
本書もその一つで、学習法に関するもの。どういうタイプの人にどのような弱点があるか。常識的学習法の間違い。子供から大人までの、具体的な学習法のコツなどが説明されている。当然、面白い部分や参考になる部分を多く含んでいる。
ただ、ちょっと疑問がある。私は、著者を、一面で非常に興味深い論者だと思っている。常に中立的な姿勢を崩さない点に好感がもてるし、多くの優れた指摘をしていると考えている。
しかし他方で、まず、彼の本は、意外と、論理性・体系性の点で物足りないところがある。実用書に多い書き方で、ポイント・アイディア・ヒントが列挙される形になっており、全体の体系が見づらいことがある。
そしてなによりも、和田は、何故こんなにも多くの本を書くのだろう。彼の著書の大半が同じようなスタイルで、内容的にもかなり重複しているはずだ。何故、論理性・体系性を徹底させた一冊の本を書き、それによって大ヒットとロング・セラーを狙わないのだろうか。どう考えても、その方が効率的なはずだ。
著者に嫌味をいうつもりはない。ただ、和田は、頭の良さや悪さに関する多くの本を書いている。しかし、一つのテーマにつき一冊、体系的で決定的な本を書いてベスト・セラーを狙い、その収入・時間でなにか別のことをやる方が効率的だろう。失礼だが、延々と本を書き続ける著者自身に、なんらかの複合観念を感じる。