与 勇輝さんが造り出すお人形たちに魅せられて、展覧会がある度に訪れきました。
先月、高島屋大阪店7階グランドホールで開催されていた「昭和・メモリアル『与勇輝』展」での作品がまた素晴らしく、与 勇輝さんの作品群を観賞できる出版物を探していたところ、本書が近刊として出版されていることを知り、早速入手しました。
別冊太陽の質の高い編集もあって実に満足を覚えるムックに仕上がっていました。
オーカラーですし、大判ですから、与さんの作品の素晴らしさかを誌面からストレートに伝わってきます。
いきなり、初期の作品である「灰かぶり」の表情に魅せられました。この憂いを帯びた表情は人形と言うジャンルを超越したフォルムで、まさしく感情をもった者と言う感じで迫ってきます。それは見開きで紹介してある「パンを踏んだ娘」でも同様で、全体から発する「気」の鋭さにタジッとなるほどでした。
与 勇輝アルバムでは、これまでの歩みや家族のこと、戦中戦後をどのように生き抜いてきたかが書かれています。その作品を生み出す原動力ともなった与さんの生きてきた道を知ることでより作品から受ける感動は深くなったようです。
小津安二郎監督へのオマージュとも言える『銀幕』の項目で示される作品の質の高さに見入りました。特に東京物語の老夫婦のうしろ姿から伝わってくる寂寥感には感心させられました。実に見事です。
第7章では、先月、難波で観賞した「昭和」という時代の傷跡を浮かび上がらせた一連の作品群が掲載してありました。与さんが伝えたかったメッセージがその作品の表情からストレートに発せられているようでした。