内容紹介
労働事件では、労使双方にとってメリットがある「和解」による解決件数が年々増加傾向にあります。
しかし、判決と違い和解の内容についてはオープンにされることはなく、事例も当事者や代理人の個人的な蓄積にとどまっています。
本書は、一般に知られていない和解の実際について、実例に多少の創作を加え分かりやすくなるよう編集しました。
また、事例によって和解の"相場"も参考にしていただけます。
著者からのコメント
終了件数610件(34.5%)を上
回っているばかりでな
く、一般民事事件における和解率と比較しても高率となっ
ています。
労働事件は労働者、会社側いずれの立場でも訴訟における立証には 多大
な労力を要し、訴訟期間が長期化することもあり、妥協点が見出せる事案
なら早期に和解で決着したほうが双方にとってメリットがある、ぢ円満な労使
関係の回復は日常業務の円滑な遂行のために必要不可欠であるから、判決で雌
雄を決めるより、可能な限りお互いに傷み分けの形で和解するほうが双方にとっ
て有益である、労働事件の中には、少額の賃金不払をめぐる争いや労災にか
らむ損害賠償請求など、金銭の額や支払期を調整することによって比較的妥協
点を見出しやすい事案も多く存する−などの理由によるものと推察されますが、
判決と違い、その内容についてはオープンにされることはなく、事例も当事者 及び
代理人の個人的な蓄積にとどまっている状況にあります。
一方、労働事件の解決手段としては、都道府県労働局における個別紛争処理 制
度、労働委員会における審問の迅速化、労働審判制度など紛争解決のスピー ド
アップが図られています。 こうした動きのなかで、紛争解決手段としての和解
はますますその重要性を増してきているといえます。
本書では、第1章では和解の概要、2章では実践的なノウハウを理解しなが
ら、3章においては、実務上多く見られる事案を素材とし、和解が成立するまで
の流れをできる限り現実の進め方に近い形で解説するとともに、和解条項の
例を掲げ、できるだけ和解の実態が理解できるように配慮しました。これによ
り、 充分なものではないにせよ、和解が成立するまでの過程及び和解条項の意
味な どを理解いただけるものと考えております。
なお、第3章で紹介している事例は、実際の事例そのものではありませんが、
実務上よく見られる係争及び進行になるよう配慮されていますので、労働事件に
携わる方々の参考としていただける内容になっているものと信じております。
本書が、労働紛争の当事者及びその解決のために尽力されている方々に、合意に
よる事案解決のための手がかりを探る書として利用していただけるならば、 望
外の喜びです。