進む不況の中で、非正規社員の失業問題が大きく取り上げられている。
世間では、「規制緩和・構造改革を進めた結果、雇用の不安定な非正規社員が増えた。」というのがなかば常識のように語られている。
そこで、現政権は非正規社員の規制に動き出し、世論もこれに同調しているように見える。
本書では、この非正規社員の問題に始まり、少子化問題、長時間労働、女性の社会進出、高齢者雇用など現在取り上げられている多くの問題は、戦後の高度経済成長の時代に確立された日本的雇用慣行にその原因があるとする。
すなわち、経済が右肩上がりであった時代には、新卒一括採用で大量採用し、企業内教育によって育て上げ、最も金のかかる50歳台に最も賃金が高くなり、定年制によって事実上の解雇を行うシステムである。
どうやら、この日本的雇用と呼ばれるものは、その基礎が戦時中にできて、高度経済成長とともに完成したシステムらしい。
しかしながら、すでに低成長経済に突入して20年余りになるというのに、このシステムは揺るぐ気配はない。
政府内での議論の気配もなく、ただ、対症療法を繰り返しているだけのように見える。
ほかにも、あの悪名高かったホワイトカラーエグゼンプションの本来の意義や、パートまでも含めた同一労働同一賃金の提案。派遣労働の3年という期限の撤廃などなど、著者の提案には納得させられるところが多い。
通説にとらわれず、この国の構造的な問題点を浮き彫りにしていて、これからのあるべき姿が明確に示されている。
この国の将来のために必要な本の一冊である。