読み出していきなり引き込まれました。全編に渡って良くも悪くも「これが加藤清正という男だ」と納得させられてしまいます。
秀吉(木下藤吉郎)との出会い、おね(北政所)を母の様に慕う姿、福島正則(市松)と友情を育む姿等々、木下家で養育される冒頭から楽しめます。
本書において清正の武勇や義侠心が存分に発揮されるのは朝鮮出兵を描いた部分です(この部分は明、朝鮮視点からも細部まで描かれています)。小西行長が明との同盟を模索する間、愚直なまでに太閤の意に添おうと孤軍奮闘とも云える清正の活躍が描かれています。
『小西行長』については同出版社から本が出ているので合わせて読んで頂くと清正、行長のそれぞれの姿勢での太閤に対する忠誠心を知ることができます。
関ヶ原の後に、政権を奪取しようとする家康に表立って対立はしないものの秀頼に忠誠を尽くす姿は心打たれます。
家康の理不尽な要請にも拘わらず、朝鮮出兵時の折りに学んだ築城知識を駆使し、数々の築城に携わった清正。最後まで愚直な姿は日本人の好む所でしょう。
佐竹氏の作品は他にも何点か購読してきましたが(島左近、蒲生氏郷、真田幸村)、フィクションが控え目に表現されている点からも本書が一番楽しめました。