木村大作さんが初メガホンを取るというので、まずは原作を手にとりました。
新田次郎といえば「聖職の碑」に「八甲田山」。原作も映画も忘れえぬ名作です。
この小説は初めて読みましたが、すごくおもしろかったです。
主人公の測量師は当時未踏の頂だった剣岳に観測点を設置するよう上司(軍人)
に命じられます。しかし行く手には「剣岳は登ってはならない山」とする地元の信仰と、
近代的な知識と装備を備えた日本山岳会が立ちはだかります。
主人公の前にはこれでもかと困難が山積みされますが、決して怯むことなく、
かといって、たぎる思いを吐き出すこともせず“仕事”に取り組みます。
職人として生きた自分の父親を思い出して、なんだかホロリとしてしまいました。
それはさておき、主人公たちを頂に導くのが近代の知識や技術ではなく
信仰であったという点に深く感銘を受けました。
信仰は進歩を妨げるものではなく、受け止める人間の利害がそうさせるのだと
ボクは理解しました。新田次郎はやっぱり慧眼ですよね。
それに主人公たちが日常の“仕事”の延長で偉業を成し遂げたということが
なによりとてもうれしかったです。
こんな時代だからこそ、読み継がなくてはいけないと思いました。みなさん
ぜひ読んでください。