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劇的な精神分析入門
 
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劇的な精神分析入門 [単行本]

北山 修
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

「ようやく私のような者でも、〈私〉が生きてここにいることにそれなりの意義があるのだと思える本ができ上がった。この本にオリジナリティがあるとすれば、源は精神分析本来の劇的観点と、精神科医としての経験、そして舞台人としての私のささやかな体験そのものであり、その間にこそ私の個性的な立脚点があるからだ。加えて、症例や私自身の内的世界を詳しく語らないままで、若き日のエッセイや歌詞など、私自身のすでに公開されたところを活用することが、〈私〉に関する問題や視点の提起を容易にさせたのである。つまり、パーソナルコミュニケーションの極致にある精神分析と、マスコミ活動という両立し難いものの接点で私は随分と格闘してきたが、その結果や成果がここに書き込まれていると言える」(「あとがき」より)
今日、精神分析の臨床は、患者やクライエントの症状の意味を分析することから、人が生きることを抱え、共に考え、そして失敗することへとその力点を移している。意識と無意識、外と内、人間と動物、大人と子ども、日本語と外国語、普通と普通でない……〈私〉を分かつ社会の二分法や二重性をこえて、〈私〉が本来の在り方を確保するために。「心の台本を読む」「治療室楽屋論」など、人生の営みを演劇的なものと捉えてみること、そして〈私〉の心の台本に気づき、読み取り、かみしめること。かつて舞台人として楽屋を愛した著者の、独創的で体験的な〈私〉の時代の精神分析論。

内容(「BOOK」データベースより)

私たちは、親的な眼差しのもとに演じる役者の苦しみを抱えている―。悲劇を反復する「私」の心の台本に気づくとき、新たな自己理解の扉が開かれる。日常から理論へ、新しい道筋。

登録情報

  • 単行本: 301ページ
  • 出版社: みすず書房 (2007/4/1)
  • ISBN-10: 4622072858
  • ISBN-13: 978-4622072850
  • 発売日: 2007/4/1
  • 商品の寸法: 19 x 13.6 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
精神分析療法は、精神分析医と患者のあいだに結ばれた、濃密な契約関係である。

週に3〜4回、3年間以上も続けるのだから、治療者も患者も負担が大きい。

それでもやはり、精神分析には、他の治療法では代わりにならない魅力がある。

心を扱う本のカバーは白地かクリーム色が多いのに、この本は正反対。
正体がわからない不安を抱かせ、深い闇をも連想させる、真っ黒である。

しかしそれは、精神分析治療をドラマ(劇・芝居)になぞらえて語るためだったとわかる。

舞台上演中、つまり、患者との面接で疲労困憊したセラピストを休ませ、
激励するのが舞台裏のスーパーバイザーの役目だという。

私がこの本から得た最大の収穫は、逆転移と「治療者の病理」である。
なぜ、『逆転移』が、精神分析のなかでひとつの重要なテーマなのかが理解できた。

逆転移とは、精神分析家が患者に好意や嫌悪の感情を抱くことだけにとどまらない。
精神分析を受けにやってきた悩める患者の治療を開始することで、
セラピスト自身も悩める患者になってしまう事態も、
じつはそう珍しいことではないようである。
まさにミイラ取りがミイラになるといった事態が起こる。

セラピストはどのようにしてこのクライアントから転写・触発された己の病を癒し、
それをクライアントの治癒に結びつけるか。その答えが書いてある。

精神分析の現場で起きる治療者と患者の無意識レベルでの相対的な交流のイメージや、
無意識的なエネルギー投影の流れが、精神分析理論としては
かなり簡素で明快な図式として掲げてある。

排他的で、部外者には固く閉ざされたままだった堅牢な精神分析界の門が、
少しずつゆっくりと開かれつつあるように感じた。
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By Gori トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
名曲『イムジン河』『悲しくてやりきれない』のフォーク・クルセダーズ
北山修さんは、その後、精神科医になった。

北山さんが精神分析に持ち込んだのは『劇的』と言う考え方である。
「劇的な」は「急激な」と言う意味ではなく、「ドラマのような」
と言う意味で、急激なと言う意味は全くない。

本作を精神分析的エセイと著者は言うが、このエセイも軽い読み物という意味ではない。
エセイのように軽いタッチで書いているが重要な指摘である、ということだ。

この中で興味をひくのは『治療室=楽屋論』である。即ち、クライエントにとって現実は
舞台上の本番で、気を抜くことができない。そこで、クライエントがスッピン(もちろん心の)
になれるのが、治療室=楽屋だというのである。
なるほど、芸能人でない一般の人には確かに楽屋が無い。
ただしそこは、昔、家庭と呼ばれていたところのことではないか。
と、ぼくは思ったが、それには触れられていなかった。

セラピストは楽屋で世話をする裏方でなければならない、と北山さんはいう。

ところで、ぼくは、クライエントに必要なのは、楽屋ではなく稽古場であると思うのだが、
分析医は裏方であって、演出家のようには他人にものを押し付けない。ということなのだろう。

ところで、劇なら終りがあるはずで、分析家とクライエントの終はどういうのが理想なのだろう。
終わり方が大切とは書いてあったがそれ以上のことは、どうなれば終わるのかは、
他の精神分析家の本と同じで、またしても書いてはいなかった。

さらに、北山さん言う終わりとは分析家にとって終わりで、
クライエントの方は人生という終りの無い劇を演じ続けていくのに、
それは触れなくて良いのだろうか。
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7 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
はじめは、本を手にとり「劇的」というとちょっとびっくりしながらよみはじめましたが、だんだんと、違う意味だったのだと気づきました。読了後「劇」への見方が変わりました。

 「自分を使う」ということ。セラピストの姿勢は硬直したものではなく、セラピストも変化があり「動き」として捉えるという見方。

 また、「劇」という視点が加わり、文脈を書き直していく作業を助ける仮の共同作業だということが、よく伝わってきます。
 
 Clの中での【楽屋で文脈を書き直すCl】←→【劇を演じ直すCl】という関係性を支えるものが、Thの中での【共同作業として言語化に参加するThとしてのTh】←→【自分のこころの傷をあつかいその気づきを台本として参考にするひと】の関係性なのかなぁ、と思いました。

 誰もが感情をあつかい、心の傷とその周辺とつきあっていくという点で、同じ作業をしているのであり、役割は違っても一つひとつの劇を味わう。また、過去も大事にしながら、自分の中であつかうことができるようになってその過去も、ある意味変えられる。このようなあたたかさを感じました。
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