シナリオのセリフに、地の文をつけて読みやすくしたもの、という感じがしました。
シナリオを元に作られた映画は、おもしろかったかもしれませんが、シナリオそのものは、一般の人にはさしておもしろくない代物です。
この本も、ですから、一般の人には、あまりおもしろくないんじゃないでしょうか。
小説としては、首をひねってしまいます。
(1)リズムが小説のものではなく、映画・シナリオのもの。
ひどく違和感があります。
(2)見えないものを、なんとしても読者に見えるようにしよう、という、小説家ならば持っている、執念のようなものが、まったく感じられません。
「適当に書いておくからさ。あとは読者の方で想像してよ」とでも言わんばかりです。
あるいは「映画で見たでしょ? あの光景ですよ。だからくどくどと書かなくてもいいでしょ」といったところでしょうか。
ノベライズしたのは、進藤良彦という人らしいのですが、奥付に名前があるだけです。
カバーにも、表紙にも出てきません。
そこにあるのは、シナリオライターと監督の名前だけです。
つまり、この本は、小説としての価値を、そもそも放棄しているようなのです。
あえてお勧めするとしたら、映画を見た人です。
映画を思い出すためのメモとして使うのが、正しい読み方のようです。