日本アニメ界の巨匠、出崎統監督のまさに傑作といえる本作。
原作はいうまでもなく、岡ひろみが主人公であり、彼女の成長や恋が描かれている。
だが、本作の主人公は岡ひろみではない。宗方仁だ。
単なる原作の総集編ではなく、宗方の壮絶な生き様に焦点を絞って描ききった点で、
本作は原作を遥かに凌駕し、独自のオリジナリティを確立した傑作に仕上がっている。
『時間を無駄にしてはいかん・・・』
『岡には、女を超えてもらう!』
『・・・・・・・・・岡だな?』
などの名台詞の数々。
クライマックスの病院シーンで、岡への想いをとうとうと語る原作に対し、藤堂を
呼び、短く告げる言葉。
『岡が本当に心の支えが必要となったとき。あらためてかけてやってくれ。』
『誰にも言うな!何も聞くな!俺の最後の頼みだ。』
そして、紡がれる最後の言葉。
『母さん、電話だ・・・。岡のやつが、またかけてきたよ・・・。』
これらの伝説的な台詞はすべて映画オリジナルのもので、その演出の妙に驚嘆の念
を禁じえない。
原作の魅力を損なわないようにすることだけにキュウキュウとするクリエイター
が多い中、あえて原作のエッセンスを研ぎ澄まし、磨き上げることで独自の作品
に昇華させる出崎マジック!『原作の映像化』とは何たるかということのバイブル
がまさに本作であり、日本アニメの金字塔的作品ともいえよう。