小説「空の境界」第四章伽藍の洞のアニメ劇場版。時系列的には第二章殺人考察(前)のラストで諸々の事情により意識不明となった主人公の式が長い昏睡状態から目を覚まし、復活するまでを描いています。
長い昏睡状態の間に生死の境を漂っていた彼女には、生の出口と死の入り口を見極める能力が目覚めていた。後に『直死の魔眼』と呼ばれるその能力と引き換えにする形で、しかし彼女は大事なものを失ってしまう。その喪失感が彼女を苦しめ、手に余る異能力が彼女を蝕む。そんな袋小路に入っていた彼女に手を差し伸べたのは、自らを「魔法使い」と名乗る女性・橙子さんだった。そして式は、失ったもののために、得たものと共に生きる決意をする。
構成はシンプルで、話も短め。そのぶん映像は丁寧で、話の端々に次章の伏線も見られます。舞台が病院で主人公が寝たきりであるため全体的に動きが少ないですが、終盤のバトルは演出、映像ともに秀逸。このように見所はちゃんと用意されているので退屈はしません。
ただ、半身を失った式の苦悩とその意味が描き切れておらず、小説未読者の方には「どうして式があれだけ苦しんでいるのか」が伝わりにくいかと思います。『直死の魔眼』の恐ろしさに関する描写もかなり省略されているので、そこも不満点。それらが気にならなければ十分満足できる作品だと思います。