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創造的破壊――グローバル文化経済学とコンテンツ産業
 
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創造的破壊――グローバル文化経済学とコンテンツ産業 [単行本]

タイラー・コーエン , 田中 秀臣 , 浜野 志保
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

自由貿易は、私たちの文化を根絶やしにするのか? マーケットとカルチャーは敵対するのか? エートスとミネルヴァ・モデル、最小公分母効果、サイズと臨界質量、文化クラスターの重要性、ブランドの力、若者の消費行動が決めるカルチャーの「質」など、文化と経済の関係を知るための必読書! 2011年、世界で重要な経済学者の1人に選ばれた著者の話題作!

内容(「BOOK」データベースより)

自由貿易は、私たちの文化を根絶やしにするのか?エートスとミネルヴァ・モデル、最小公分母効果、サイズと臨界質量、文化クラスターの重要性、ブランドの力、若者の消費行動が決めるカルチャーの「質」など、文化と経済の関係を知るための必読書。2011年、世界で重要な経済学者の1人に選ばれた著者の話題作。

登録情報

  • 単行本: 282ページ
  • 出版社: 作品社 (2011/5/27)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 486182334X
  • ISBN-13: 978-4861823343
  • 発売日: 2011/5/27
  • 商品の寸法: 19.4 x 12.8 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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市場と文化 2011/6/2
By naichi トップ500レビュアー
Facebookの利用者数が、ついに7億人を超えたそうである。思考が道具に規定されるということを考えると、これだけ多くの国の人びとが、同じツールを利用してコミュニケーションを取っていることには、いささかの懸念を感じるのも事実である。世界中の人がiphoneを片手に、Twitterで情報を取得し、Facebookで交流する。このグローバリゼーションがもたらすのは、はたして多様性なのか、画一化なのか。

これらの問題は、コンテンツのレイヤーにおいては古くから議論されていたことでもある。ハリウッド映画やマクドナルド、コカコーラなどによる世界的な普及がいったい何をもたらしたのかということである。本書は、そんな異文化間交易における「文化の多様性」について、経済学的な切り口も交えて論考した一冊。これらの問いに対して、独自の視点で鋭く切れ込んでくる。

◆本書の目次
第1章 異文化間交易 − グローバリゼーションの交易
第2章 グローバル文化の隆盛 − 富と技術の役割
第3章 エートスと文化喪失の悲劇
第4章 なぜハリウッドが世界を牛耳るのか、それはいけないことなのか
第5章 衆愚化と最小公分母 − グローバリぜーション時代の消費者
第6章 「国民文化」は重要なのか − 貿易と世界市民主義

全体を通して語られている論調は、以下の三つの教訓に立脚している。

◆三つの教訓
・「文化の多様性という概念には、複数の意味があり、中には規格外のものもある」
・「文化の同一化と差異化は、二者択一ではなく同時に起きること多い」
・「異文化間交易は、それぞれの社会を改変し崩壊させるが、結局はイノベーションを支え、人間の創造力を持続させることとなる」

特に一つ目の教訓は、注目に値する。多様性の概念をどのように捉えるかによって解釈は大きく変わってくるのだ。多くの場合において、多様性とは複数の社会の間の多様性を指し、社会の内部の多様性には着目されることは少ない。しかし新しい芸術作品が、ある社会から別の社会へと輸出されると、二つの社会の間の多様性は低下するが、社会内部での多様性は高まる。この社会内部での多様性に着目している点が、本書のユニークなポイントである。

そして、内部で生まれた多様性は、社会間においては部分的な同一化を生み出すかもしれないが、内部のミクロレベルでさらなる多様性が花開くための必要条件が整備される可能性もある。そのような経緯を得て、多くのケースにおいて、大量のイノベーションを引き起こされ、革新的かつ質の高い創造が行われてきたというのが、著者の主張である。

また、仮にそれを嫌悪する集団がいたとしても、条件さえ整えば、それらは独自性を保持することにもつながる。グローバリゼーションを受けいるようと、受け入れまいと、ある側面においては、多様性が損なわれることはない。社会間における文化の画一化とは、地理的条件からの解放という話にすぎないのである。著者のこの姿勢はどこまでも楽観的であり、アダム・スミスの「神の見えざる手」を彷彿させる。

しかし、我々は、消費する際にしても、コンテンツを作りだす際にしても、それが集約的消費に基づくものなのか、粗放的消費に基づくなのかは、意識的に捉えておいた方がよいのではないかと思う。集約的に消費に基づくハイカルチャーは、文化の主流というよりも終焉に位置するため、時代を規定することは難しいが、多様性という側面から考えると非常に重要な位置づけになってくるのである。もちろん多様性そのものを善とするということが前提ではあるのだが。このあたり、キュレーションの議論とも結びついてきそうで、奥が深い。

いずれにしても、全編を通して刺激的な議論がされている一冊。ぜひお試しあれ。
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7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 西山達弘 トップ500レビュアー
本書は、音楽や映画、芸術などのグローバリゼーションが、地域に固有の文化や多様性を破壊するという議論への考察を試みたものである。

文化は異文化と触れ合うことによって多様性が広がり、新たな芸術が生み出される。すなわち、社会間の多様性が破壊されることによって、社会内部の多様性が創造される。というのが著者の主張である。

もちろん、マクドナルドやハリウッド映画のように均質的な文化輸出もあるが、その裏でははるかに多様な食文化や優れた映画作品も多く生み出されている。

言い換えれば、ソフトパワーとも言うべき領域についてはグローバリゼーションのプラス面が大きいといえる。

もちろん、異文化と接することで衰退する場合もあるが、本書に登場するレゲエ音楽、ハイチ芸術、ペルシャ絨毯、インド織物、ナバホ族の織物のいずれも異文化の技術を取り入れることで復活を果たした。

一方で、グローバリゼーションは低俗な質の低いテレビ番組に見られるような衆愚化も促進している。これを著者は「最小公分母効果」と呼んでいる。しかし著者は、市場がより細分化され目に見えにくいところで変化と多様性は向上するとしている。

これが、冒頭に出てきたフランスの思想家トクヴィルのアメリカ文化への懸念への回答である。

そして、日本語版に寄せられた大震災後の日本への著者からのメッセージが本書のまとめにもなっている。
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Amazonが確認した購入
「日本社会が一見閉鎖的に見えるのは、ラディカルなまでの開放性を覆い隠すための偽装」であり、「(日本人が外部からの影響を吸収して取り入れてきたことは)まったくもって創造的な行為」で「日本には、持ち前の創造力がある。」との序文でのメッセージはまさにこころに沁みる。いち早く、震災後の日本への応援歌をくれた作者と日本語版編集者に感謝したい。

グローバル化によってもたらされる富と技術は、既存の文化においても最良のものを保存し、拡張する例をペルシャ絨毯、カリブ海音楽などから説明し、最大級のコンテンツ産業である「映画」へと論を発展してゆく。

もちろん、単純にプラス面のみを強調するのではなく、異文化間交易を通じて勝敗がつくことはなく、進歩とも犠牲ともいいきれない「好み」を前提とした「あいまいさ」も残されている。

また、ハリウッドに映画製作が集中する理由を、経済学者らしく「人材のクラスター化」こそが最大の要因であることを指摘し、国や地域による文化的なインスピレーションの枠組みである「エートス」を背景をしなくても共通の理解を得られるアクションものこそが世界的なヒット作となる戦略が確かに存在していることには、強い説得力を感じずにはいられない。

「グローバル化」「文化帝国(植民地)主義」「コンテンツ産業論」「文化経済学」などひとつの枠におさまりきらない大きな問題に正面から取り組んだ好著。
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