芸術家でなくとも、なるほどと思うことが多くあると思う。ユングは芸術家に見られる不適応は利点でもあるといっている。また芸術の形式には二種類あり、一つは創作意欲が自分の意志とは別にやってきて、芸術家自身がまるでなにか別な力が働いているように作品を作ってしまうということ、もう一つには意識的計画的に作品をつくっていくということである。ユングは前者を外向的態度とよび、後者を内向的態度と呼んでいる。
この書物は芸術家に接することの多い人々にとっては、芸術家に対する人間的な理解を可能にするものであると思う。また芸術家自身は、ともすれば世間から誤解されやすい自分自身の行動が芸術家にふさわしいものであるという認識によって救いにもなると思う。
後半はユング心理学の専門的な知識が無いと少し理解しづらいものではある。しかし空想が治療の役に立つという印象を持ってもらうためにユングは平易な言葉で自分の主張を展開している。