ファミリービジネス、いわゆる家業や家族経営、あるいは同族企業と呼ばれる企業組織は世界中にあるし、数百年も続いてきた企業の多くは、アジアの財閥企業に代表されるようにファミリービジネスであることがほとんどだ。そうした古くから続く企業であっても必ず直面する最大の悩みが、本書が扱う二代目経営者への「事業継承」の問題である。私のまわりにも事業承継を経験した(する)友人は多く、この問題には以前から関心を持っていた。
本書は、二代目が社会人としての最初のキャリアをどこで積むべきか(第一章)から始まり、家業に入ってどんな仕事をするべきか(第二章)、いよいよ後継者となって三年以内にどんな仕事をするべきか(第三章)、先代の時代からの古参社員とどう接するか(第四章)、兄弟・妻を会社とどう関わらせるか(第五章)、新卒者の採用と育成(第六章)といったように、二代目経営者が大いに頭を悩ませる問題に、段階をおって明快に答えていく構成をとっている。
著者が船井総研所属の現役コンサルタントらしく、自らのクライアントとしてつきあってきた二代目経営者達へのアドバイスをもとに、問題の核心に迫っているから説得力がある。各章で選ばれた中心的トピックの選び方もなかなかよく、私は二代目社長になった友人達から聞かされた悩みごとの数々を思い浮かべながら、大変興味深く読み進めることができた。なにより、決して精神論に流されることなく、物事を客観的に整理しながら語りかける文体に好感が持てる。
本書の読者層は、書名通り二代目経営者であるが、本書が指す二代目とはひろく事業後継者の意味であり、三代目や四代目も含まれるという。もちろん、これから家業を息子や娘に継承させる予定のある若い創業者にとっても大いに参考になるだろう。例えば、我が子にどのような教育を受けさせるべきか、または事業の話題を家庭の食卓で子供達に聞かせるべきか、などといったトピックも本書にはたくさん含まれていて、示唆に富む。私も「二代目」の友人達に一読をすすめるつもりだ。