昨年五月から公の場に姿を見せておらず、重病説も飛び交う池田氏に対し、週刊誌等では過去の人として彼の行跡を総括する記事が目立って多くなってきた。
そのような空気の中で、「創価学会そして池田大作とは何だったのか」を総括すべく、学会研究の第一人者・島田裕巳氏と元公明党委員長・矢野氏が対談したのが本書である。
あらかじめ言っておくが、島田氏は富士大石寺の教義に精通しておらず「戒壇の御本尊偽作説」を支持する側に立っているため、教義面ではいくつか重大な誤りが見受けられる。
また矢野氏もかっては活動家とはいえ、学会教学ゆえに正確さを欠いているので教義面は客観的に読む必要がある。
しかし本書の価値は、教義の真偽云々ではなく、学会の発足から始まり折伏大行進の時代、戸田の死と池田の会長就任、
カリスマ化そして政権奪取への野望、言論問題で大打撃を受け国立戒壇否定、政教分離への方針転換、日中国交正常化、
創共協定、宗門との抗争、会長辞任、野党時代の公明党から新進党〜自公連立そして野党転落、池田死後の展望等、
創価学会の軌跡を時系列で対談を進めながら追っており、その中で様々なエピソードを交えつつ、稀代の野心家・池田大作の実像・正体を浮き彫りにしているのが実に興味深い。
またさすがに元公明党委員長なだけに、自民党と学会の関係、選挙戦の実態や中国・ロシアとの外交問題等、新進党解体の原因に絡み小沢一郎の話も出てくる等、政界の裏話も面白い。
既刊の「黒い手帖」と合わせ、戦後裏面史としても一読の価値ある書である。