宇多丸師匠がラジオ(TBSキラキラ)で誉めていたので購入。
先行レビューが★三つなのはあんまりだと思うので少しだけ書く。
まず,最近多いお手軽新書と違って,この本はかなり内容が濃い。若手の研究者が数年来の研究成果を詰め込んだ渾身の一冊だからだ。お気楽には読めない。読み通すのにはそれなりに時間が掛かる。ただし,それだけの価値はあるし,知的満足度は非常に高かった。昭和以降に発達した国内レコード歌謡通史を概観できるというだけでも,新書にするのは勿体ない,新書で出してくれてありがとうと言いたいくらいの労作だと思う。
もちろん,本書の核心は現在で言う「演歌」というジャンルがいかに作られたかという謎解きの部分。
宇多丸師匠も言っていたが「演歌」というジャンル分けの不自然さに,うまく言えないけど,なんか変じゃない?という漠然とした違和感を感じていた人は多いと思う。吉田拓郎や大滝詠一の作曲でも森進一が歌えば演歌なのかとか
そういう疑問を抱いている人は読むと良いと思う。すとんと腑に落ちる,知的快感が得られるから。
ニューミュージックと同じくらいの時期に,竹中労,五木寛之といった当時のカウンターカルチャーの担い手が大きく関わって作られた「新ジャンル」だったなんて…。そんなどんでん返しアリですか,と。さらにこの先に,えええええ,そうだったんだと驚く事実が次々と開陳される。
ちょっと苦言を言うと,もうちょっと編集の人が頑張れば良かったのになと思う。例えばタイトル一つとっても,もう少し頑張れば,もっと多くの人に届きそう。
それでも読み通す価値はある。読み終わったあと,宇多田ママこと藤圭子の当時の映像をYouTubeで見まくってしまいました。