副島隆彦氏、というと政治や経済・金融の本をたくさん書く人、という印象があると思う。だから政治や経済などの本をあまり読まない人には縁遠い人になりがちだった。
ところが今回の本では、直接に政治や経済などをテーマにしてないので(もちろん政治や経済の話題は出るが)、政治、経済に興味のない人や文学部や理系の学生なども充分に読める本になっている。
内容は多岐に渡る。全般的に言えることは、やはり真摯な内容だということと、この副島氏は本当にまじめな人なんだ、ということが良く分かる本だということ。
自分にはあまり関係のないテーマだと思って読んでいても、副島氏が真剣に考えてきたことだから、どこか自分の胸に引っかかるところがあった。何か、読者に訴えかけるところの多い本だと思う。副島氏の「叫び」がするというか(笑)。
個人的には「愛とは何か〜」の箇所など、読んだ後によくよく考えてしまった。思想についての考え方や、学問とのスタンス、自分自身との闘い方などの問題など、自分にとって抜き差しならぬテーマが続く。
もっとも飼い猫の死んだ話も書いてあって、これは「人生道場」とは直接関係ない文章という印象を受ける。
また他の本や雑誌には書かれていないことなどが、わりとすんなりと書いてある。テレビの出演料がいくらだとか、知識人の誰と誰が対立関係にあるなどということから、歴史学者の岡田英弘先生が日本の学会では孤立しているようなことが書いてあったり。
毒のある本だが、それが逆に真摯な姿勢で書かれたものであるだけに、説得力が増しているように思えた。
とにかく最近読んだ中では非常に印象に残った本。老人の大家の作家や学者の書く人生論とはまた別の世界を持った、神経がぴりぴりして生命力に溢れた人間の書いた、一風変った人生論、という感じ。真摯で悩み多き人に読んでもらいたい一冊。