上級者をターゲットにした本,研究本,指導者である上級者にとって,という限定をさせていただいて,文句なしに☆5つです.
(読者層を考えれば,人により☆1にもなるでしょう.)
理由は,このような本が今までになかったから.これに付きます.
この本の好き嫌いはおいておいて,一流選手の打撃メカニズムを解明した論文としては,極めて客観的な批判に耐えうるデータがまとめられていると思います.
特に興味深かったのは,竹刀の重心を意識した竹刀の回転運動,
さらに,踏み込みの力を利用した竹刀の引き上げなどの双対動作の説明.
手の内の小指の使い方(多くの選手が中指[+薬指]と親指を中心に持っている理由の説明になります).
最後に本書の欠点です.
1) 基本打ちに対する考え方がマジョリティーと反する:だから多くの人にとって教え子に本書は読んで欲しくないと思ってしまう.
2)下半身の動作の記載が不十分:下半身(腰の出,右膝の出,踏み込み)の記載,練習方法不十分であると,本書の技術を会得しても本当に手打ちになってしまう.
でも,すでに下半身ができあがっている上級者にとっては,この欠点はない.
3) DVDのお手本の好感度が低い:残念ながらお手本の学生のレベルがいまいち.先生の小手打ちのお手本は素晴らしい.面打ちも先生のものを見たかった(でもDVDは分かりやすい).
4) 言葉が分かりにくい:慣性のモーメント(物理用語),肩の屈曲(医学用語),逆二重振り子運動(先生の理論)などなど説明が分かりにくい(研究書としてはいいのかも).
ちなみに肩の屈曲とは肩を中心に,歩くときに手を前にスライドさせる動きのこと.