長州出身の著者ならではの、綿密な調査によって描かれた伝記。大分前になるが、萩を訪れたときにタクシーに「顕義園へ」と言ったら、日大関係の方ですかと言われてしまった。違うけど、この人、結構好きだ。他の有名な志士たちより少し年が下だったためか、あまり知られていないが、いろいろな才能を持った逸材だった。木戸孝允日記にちょいちょい名前が出てくるから、かわいがられていたんだろうね。亡くなり方がちょっとミステリアスで、著者はどうやら山縣有朋を疑っている(笑)。面白いんだけど、ちょっと地元の作家さんだから、ひいき目も入っているかもで、星四つ。
司馬さんの作品ではとても不当な扱いを受けているが、それは憲法をつくるとき、彼だけが「統帥権」の危なさに気づいていたのに、最後まで追及しなかったあたりが原因か。あるいは、小ナポレオンと言われる軍事の素質があり、木戸氏という後ろ盾もありながら陸軍のトップを山縣に譲った、その欲のないところが、陸軍で散々な目にあった司馬さんのお怒りの原因かもね。