本書の特色は前立腺肥大症の説明は良いが、前立腺がんについての説明が非常に少ない点であろう。前立腺とは何か、前立腺肥大症の症状はどういうものかの説明に紙面を多く割いており、それ自体はわかりやすい。しかしながら前立腺肥大症の治療法が約50ページは良しとしても、前立腺がんの検査や治療に至っては34ページしか書かれていない。全228ページの書としては非常にバランスが悪い。要は前立腺についての前置きや、症状に関する説明が冗長になり過ぎている。これならば本書のプロローグにあるQ&A、8ページの方がむしろ有意義であり、このQ&Aで紙面を多く割いた方が良かったと感ずる。重要であるはずの針生検についても記述は8行ほどにすぎない。最も興味がある小線源療法は10数行、重粒子線治療は3行のみの記述であり、非常に残念であり、拍子抜けであった。要は全摘手術になれば、著者が開発した会陰式前立腺摘除術が手術時間が短く出血量も抑えられ、非常に良い治療成績であると言いたいのだろう。私としては「よくわかる前立腺の病気」(岩波アクティブ新書)の内容の方がバランスが良いと思う。