出版社/著者からの内容紹介
この物語は遠い昔、侍達がおのれの「義」のために命も顧みず戦い、生きた熱い時代を描いたものです。
物語の中心は伝説の武将、前田慶次郎とその家来の古武士・小吉と、刺客として彼らの前に現れた美しい少年・りんです。りんは男(を)の子ですが、心に対極の性を持って生まれてきました。この物語には女性は殆ど出てきません。戦場において命の燃焼を夢見る男達の世界と純愛物語を同時に描こうとしたら、このような設定になってしまいました。「契り」を結んだ小吉とりんの性愛描写もしっかり書いてしまいましたので、この手の話の嫌いな方には、この小説はお奨めできないでしょう。
剣を持っての立合いの描写は一つの挑戦でした。武道館で貸してくれる「古武道ビデオ」で組太刀を研究しましたが、臨場感は出ていたでしょうか?
この小説を書くにあたっていくつかの「仕掛け」をしたつもりです。
●興福寺の阿修羅像の化身の創出(表紙の作画をご覧下さい)。
仏敵への残虐無慈悲な戦いを挑む阿修羅王の権化と、絶対的な愛の庇護を乞う魂の両面をもつ少年の描写に挑みました。
●命を賭けた今生無二の「契り」
●文章中の言葉の遊び(方言風、講談風、擬古文風、繰り返し等)
●戦国時代(1590代)当時の風俗描写、実在人物の登場
●現世に生を託す者と、現世を一過の住処とする者
●戦国時代のおおらかな主従関係
どこまで成功しているか、分かりません。是非ご意見・批判等を聞かせてください。
内容(「BOOK」データベースより)
婆娑羅武士前田慶次郎の家人で、戦陣の鎌槍の遣い手の小吉は、主を襲った刺客りんに魅せられた。りんは奈良・興福寺の阿修羅像を想わせる容貌の、柳生新陰流の流れを汲む暗殺剣を操る美しい少年であった。小吉はりんに焦がれるあまり、主の慶次郎を裏切ろうと決心した…。二つの孤独な魂の行方は…。