百介――と出逢う前の、若き又市の物語です。
という訳でお馴染みのメンバーは当初あまり出てきません。
まあ、人形のような顔をした少女や、うろうろしている妙な若旦那が居たりもします。
いつものように角川MOOK『怪』連載作品の単行本化でありまして、これまたいつもの如く単行本書下ろしの一編が加えられてます。
又市、若いだけに一層威勢が良いです。瑞々しいとでもいうか。
で、例えば百介視点のように狂言廻し的な視座はそれほど前面に出てきませんで、基本的に又市がメインとして動くというのが特徴的でしょうか。
それでその書き下ろしが、多分最大の読みどころ。『巷説』シリーズ中で度々語られてきた(筈)事件の顛末です。
実にアクティブというか、大破局〈カタストロフィ〉というか、シリーズ中でも屈指の暴威が中篇並の分量で。ちょっと暗め?
そしてこれから十年後(らしい)、百介は、山中の小屋で又市と出逢います。