内容紹介
津軽のこぎん刺し、南部の菱刺しとならび日本三大刺し子の一つに数えられる庄内刺し子。その庄内刺し子を、文様数の豊富さと洗練度の高さで支え続けてきたのが遊佐刺し子である。江戸時代より昭和中期まで遊佐で着用されてきた刺し子着「橇曳き法被(そりひきはっぴ」には、多彩な文様が残されており、農村女性の手わざと心意気を現代に伝えている。著者らはこの本でこれらの伝統文様を「刺し子文様図鑑」に網羅し、土門がデザインしたパッチワークとのコラボレーション作品12点により遊佐刺し子が世界に十分通用することを実証しつつ、力強く美しい遊佐刺し子の魅力を余すところなく後世に伝えようとチャレンジしている。
レビュー
「山形新聞」2006/07/18より、一部改変遊佐刺し子の文様は、庄内柿の花模様を描く「柿の花刺し」、米の文字をあらわす「米刺し」、そろばんの玉をイメージした「そろばん刺し」、 菱の実型の刃を持つ鉄製武器に由来する「菱刺 し」など二十ほどの基本形がある。型紙を使わずに糸の目数で文様を刺し表すのが遊佐刺し子本来の姿だが、昭和50年代初頭、方眼紙に図案を描いてから作るという誰にでも分かりやすい方法が考案され、遊佐町内や平田地域(酒田市)などに普及した。「刺し子はとにかく根気のいる作業。昔の人は偉かったと思うな」と感心する土門さんは、型紙を使わない古来の刺し子技法を受け継ぐ、おそらく唯一の人。「伝統文化は、その時代に生きた人が、時代に合わせてつくるもの」と、遊佐刺し子と小さな布切れを縫い合わせるパッチワークを融合させて一つの作品にする新しい表現スタイルに取り組んでいる。