「エゴイスト」たれ。著者のアイン・ランドはこう私たちに説く。
真の「エゴイスト」になるべく、利己的に生きること、つまり徹底的に自分自身であることによって、私たちは自由の本来の価値を見出すのだ。本当の意味で利己的に生きることこそが、人類の理想に、善の達成に、つながるのだ。アイン・ランドは力強くそう宣言する。
アメリカで長らく草の根の読者に愛読されて続けてきたアイン・ランドの哲学エッセイ集がついにここに本邦初上陸!
自由、個人主義、そして資本主義。
私たちは、本書を通読することによってはじめて、近代ヨーロッパないしアメリカが理想としてきたものを、アメリカの普通の一般読者の視線で、理解できるのではないだろうか。本書におけるアイン・ランドの書き方は荒削りで粗野だが、それでも簡素で素朴であるがゆえに心に響く良質の味わい深さを、読者は感じることができる。
資本主義の理想はいまだ達成されていない。資本主義とは、自主独立の精神を持つ人間同士が、相互利益のための自発的な交換によって、商人として取引することによってのみ成立する政治経済システムなのだ。アイン・ランドが高らかに謳いあげる資本主義擁護論は、人間存在そのものの期待と信頼を前提にしたものであり、強烈なヒューマニズム、生の讃美がそこには秘められている。資本主義の悪と弊害ばかりが目につき、恐慌間近といわれる現代であるからこそ本書の持つ価値は逆説的に輝く。
読んだら、元気がでてくるいい本だ。ぜひ一読されることを薦めます。