前衛的な手法でなければ“現代”音楽でないと言われた196,70年代にあって、別宮貞雄は調性に基づく音
楽を書き続けた。彼の音楽は、だからといって同時期の保守的な作曲家にありがちなハリウッドの映画音楽
の延長上にはなく、以外と噛み下しやすい作品ではない。
この2曲のうち、3番「春」は1楽章が本来祝典用の吹奏楽に用いられていることもあり、明るく伸びやかな抒情
的な作品となっている。4番は「1945年夏」という副題が示すように終戦前後の抑圧(1、2楽章)とそれへの精
神的な開放(3楽章)、という構成となっている。1楽章は持続的な低音のリズムが執拗に繰り返され重苦しい
雰囲気となっているが、ヨーロッパの作曲家の同系統の作品とは違い、ある種の“軽る味”がある所が日本の
作曲家だなという気がする。ちょうどこの3,4番の組合せは、オネゲルの3番(典礼風)と4番(パーゼルの喜
び)との対比を思わせる。筆者はたまたまこの両録音の実演を聞いた(この日は他にバイオリン協奏曲が演
奏された)が、録音は悪くはないのだが、もうすこし弦楽器に輝きがあった方が良かった。