〈図書館〉シリーズにおいて、柴崎というキャラは、ある意味、
われわれ読者の代表の役割を担っていたように思います。
本来なら、ヒロインである郁とは反目するような位置にいる彼女が、むしろ郁と堂上の
「おとぎ話」のような恋愛を陰に陽にサポートしているのは、その証左でしょう。
自分が「物語」には参入できないことは十分自覚しながらも、
「物語」への憧憬を捨て去ることはできない――。
彼女は、そんな現代人のセンシティブな心性を反映する人物なのです。
シリーズ本編において、周囲の超人的なエキスパートたちと肩を並べさせるため、伏線なしで
情報部候補生という設定が追加されたり、手塚と同僚以上恋人未満の関係となって彼と
彼の兄との調整役という、ある意味非常においしいポジションを獲得したりと、ぶっちゃけ
少々ご都合主義なのではと苦笑いしたものですが、普通人である彼女が「物語」と関わる
落としどころとしては、やむを得ない選択だったようにも思います。
しかし、本編での彼女は、依然一般的な恋愛の幸福からは距離のあるキャラのままでした。
本作では、そんな柴崎の、その後の恋愛が描かれています。
ストーカーという陰湿かつ卑劣な事件が扱われているのですが、プライドが高く、
素直になれない柴崎と、奥手な手塚を結びつけるには、それくらいの「劇薬」が
必要だったということなのでしょう。
なにより、クライマックスにおける柴崎の魂の叫びにはこちらも感無量。
なんだ、かわいいじゃん、柴崎。
そしておめでとう、晴れて「おとぎ話」のヒロインになれたね。
やっぱり「おとぎ話」はハッピーエンドじゃないと!