モスラが新撮映像として登場した劇場作品をまとめた一冊なわけですが、やはりと云うか、ページ構成の比重が圧倒的に昭和作品に傾いています。そして記事内容が、平成作品はオーソドックスなコラムやインタビュー記事が大半であるのに対し、昭和作品はかなり多岐に渡るスタッフや出演者、その他ライターによるミクロな視点で語られたコラムが多く、変化球的様相が強いです。
もちろんそれは長い歴史の中で、主要なスタッフの多くが既に鬼籍に入られてしまわれていると云う現実があり、仕方なくも思えます。しかしこれまでに多くの出版物で読む事が出来た記事とは一線を画しており、多くの読み物に触れてきたマニアさん達(もちろん私もです)には興味深く、また楽しめると思います。個人的には、ページ袖の「永久保存版! 脇役俳優名鑑」が、東宝特撮DVDソフトの特典映像にあった「東宝俳優名鑑」の脇役部分を抽出した印象で、非常に楽しめました。名も知らぬのに記憶に残っている、顔、顔、顔……。
だけどやはり、その一方で昭和作品群については、作品そのものを俯瞰して全体像を語ったコラムはほとんどなく、入門書としては非常に厳しい構成になってしまっています。モスラは一般の方にも比較的とっつきやすい怪獣映画だと思っているので、初心者にも作品を優しく紹介できる一面もあって欲しかったとも思えます。
別の方のレビューでもあるように、誤植や記述ミスなどが散見されます。資料性の面で評価できる構成の本書だけに、そこが残念です。
総じて、マニアの方には☆4つ、初心者の方には☆2つでしょうか。旧作のスタッフインタビューは、
特撮円谷組 〜ゴジラと、東宝特撮にかけた青春〜を楽しめた方には、絶対のオススメです。
ところで本書を読んだ後に「モスラ(1961)」のブルーレイソフトを購入し、その足でカラオケBOXに入り、「モスラの歌」を歌いました。しかし、そこはJOY SOUNDだったのですが、歌詞の字幕が間違いだらけでした。また、コスモス版もありません。しかし、映像はなかなか興味深いものが流れます。その内容は、ぜひ御自分の目でお確かめ下さい。
また、8月には「東宝空戦映画大全(仮)」なる一冊が発行予定されているようです。8.15シリーズに敬意を表しつつ、楽しみに待ちたいと思います。