個人的なことですが、就職するまでの私は、革靴なんて履いたことありませんでした。そんな私もかれこれ30年近くも革靴と共に生きてきて、どんなデザインの靴が流行に左右されず長く履けるのか、どんな製法の靴が良い靴なのか、という知識は、この本を手にする遙か以前から持ち合わせているつもりでしたが、今回これを購入したことがきっかけで、今までの知識を見事に打ち破られ、自分の靴磨きの方法が根本的に変わりました。
この本では、若い世代を中心に人気のエンジニア・ブーツやワーク・ブーツを皮切りに、ドレス・シューズなどのメインテナンスについて写真と文章で簡潔に取り上げています。余談ですが、現在のようにスーツに紐靴やスリッポンを組み合わせるようになったのは戦後のアメリカ文化の影響によるもので、戦前は、スーツにサイドゴアや編み上げといったブーツを組み合わせるのが正式で、短靴やスリッポンはカジュアル向けでした。
今まで私は靴磨きを、楽しい作業と思ったことは余りなかったのです。ですので、液体ワックスの類を半年に一度塗れば良い方でしたが、この本の知識を元に正しくケアするならば、靴(革)が光るばかりではなく、革の寿命も延ばすことができるということを発見し、今では靴磨きが楽しくてたまりません。何しろ今までは、靴磨きは靴ブラシでやるものだとばかり思っていたのに、何と布で磨き上げるのが靴磨きだ、というところからして衝撃的です。
あなたの靴磨きや革の知識は本当に正しいですか?「知ってるつもり」に陥ってはいませんか?この本で是非確認してみて下さい。
ただし、この本はあちこちに誤植、写真と文章とがマッチしていないところがあり、それはちょっと呆れるレベルなのが欠点です。従いまして、革靴のケアに全く何の予備知識も持ち合わせていない人がこれを読み、その内容を鵜呑みにすることは危険な側面がありますので注意して下さい。