平安もの大好きなのでとても楽しみに購入しました。が、期待していたより微妙だったというのが正直な感想です。まず、天涯孤独になったヒロインがヒーローの家に引き取られて育てられるというせっかくの設定が、始終あまり活かされていない気がしてなりませんでした。好きっぽい感情はあるのに父親への反発だけで次第に離れる、はちょっとどうかな、と。そしてヒーローもヒロインが好き、なのか……?というあやふやな描写ばかりで(皮肉げな笑みなど)、だったらいっそ幼い頃から好きで策略を巡らせて、といった腹黒の方がしっくりきたような気がします。正直、本当はいったいいつからヒロインが好きだったのかが最後まで分かりませんでした。最後は甘かったにしろ、それすら唐突にしか思えません。父親への当て付けで結婚した感が否めない点も残念でした。ヒロインを助けた時から異性として見ていたならそうはっきりして欲しかったです。今回の作品は心情の描写が希薄で読み取れず、いまいち入り込めませんでした。描写が素晴らしい作家さんなだけにもったいない限りです。