府中3億円強奪事件、人ひとり傷つけずに数分で3億の金を奪った、
時効になった今も、ある種の「昭和ロマン」の様な事件がモチーフの作品です。
著者の「私は「府中三億円強奪事件の実行犯だと思う」という衝撃的なまえがきに
始まる物語ですが、謎解きや犯人が事件の成功を歓喜する作品ではなく
思春期を過ぎた大人なら、誰もがどこかしこに共感してしまうような一人の少女の
純粋な初恋を描いた作品です。
まだ「思春期」という時間の中にいるからこその、無謀さや、激情や、その先に見える
純粋さがリアルに描かれていて、読み終えた後の甘酸っぱい懐かしさがとても心に残る話でした。
この話は「三億円事件の真相」ではなく、「一人の少女の淡く忘れえぬ初恋の物語」
として、読むのがお勧めです。
事件の実行犯なのかどうなのか、この真実は読み終えた後も私にはわかりません。
こんな真相だったらいいな、とは思いますが。
賛否両論あると思いますが、「事件の真相」がこの物語でなかったとしても、
それすら、こだわることではないのかなと、読み終えた今は思っています。
思春期真っただ中の年齢の方、60年代の学生運動に身を投じた方、
そしてその間の世代の方、それぞれに感じるものがたくさんある作品です。
私は10代のころにこのお話に出会っていたかったなぁと、思います。
※初のレビューですので、不出来なレビューで申し訳ありません。