河下水希待望の約2年半振りのコミックス。
ジャンプでは3作目の連載作品になる。が、少女マンガ時代やその前の時代を
含めるとかなりのキャリアの漫画家になる。もはやベテランの域かもしれない。
この作品は新連載時のキャッチコピーなどでも説明されていたがいわゆるオムニバス式の
ラブコメディ、ということで今までもこういう作品はあったから形式的にはそんなに珍しくない。
だがこの作品にはそれらの作品と絶対的に違う部分がある。それは簡単に言うと
「一つの世界観」で繰り広げられる物語、という点だ。
つまりはオムニバスといえど、登場人物たちは同じ世界にいるのでいろんな人との
つながりや関係が発生していく。これは非常に珍しい形態で扱うのも難しいテーマでは
あるが今のところそれを順調にこなしていっている印象がある。
また登場人物の視点も面白い。少年漫画でありながらどちらかというと少女視点の方が多い、
というのも新鮮だしまたそれを上手い具合に、雰囲気を出しながら描いている。
もちろん男性視点もいくつかある。これがまた効果的で、ラブコメというと基本的に
一人の男に対し複数の女性、という形になるのでどうしても優柔不断状態になってしまう
傾向があるのだが、この形態によりその傾向を最小限に抑えている。
もちろん別に優柔不断なのを否定するつもりもないが、これによって少年誌のラブコメが
苦手、という人にも手にとって貰えるようなレンジの広い作品になっていると思うのだ。
そして河下水希最大の特徴とも言える女性の繊細な心理描写。これははっきりいいって
今までの作品の中でもトップクラスに感じることが出来た。そりゃこの題材で、
少女視点で彼女がこれを描けばしくじる筈もなく。甘酸っぱく、可愛らしい感情の流れを
精一杯感じてみて欲しい。また空気感や雰囲気もかなり良い感じになってます。
最後に、おまけページに「限定少女」なるおまけ漫画が書き下ろされているのだが、
これがまた本遍を喰っちゃうんじゃないかと危惧するほどインパクト大の出来。(マジで)
このシリーズは是非続けて欲しい。また装丁やデザインも素晴らしい。
彼女の作品の中でもイチオシです。