食べることは生きること、とは言いつくされた言葉だが、ただ単純に出来合いのものを食べるのと、誰かが誰かのために作ってくれたものを食べるのでは、意味が異なる。
それを強く印象付けてくれたのがこの本だった。
ここには、さまざまな料理の作り方のコツが紹介されている。
料理本かと勘違いするが、人生相談本であり、「生きる」意味を示す指南本である。
合理的という言葉に踊らされ、日常生活の食事まで手抜きが多くなった。コンビニエンスストアで売られている弁当には常温でも腐敗しないような薬剤が添加されているが、これも合理的という言葉の結果である。昔の人々の習慣を非合理的と断定したことが、長い目でみれば非合理的であることは多い。もう一度、なぜ、生きるのか、生きているのか、生かされているのか、考えなおしましょうと問われているかのよう。
まだまだ肉体的に元気な頃、朝食抜きは日常で、そのツケは10年後にくるよと言われていたが、まさにそのとおりだった。加齢とともに薬が必要になり、無理にでも食事をするようになって随分経過する。そこで気づいたのは、規則正しく「食べる」ことは「生きる」ことだった。そのことを改めて再認識した本でした。
ちなみに、本書で紹介されている「おむすび」ですが、作り方でこんなにも美味しくなるのかと驚く。食欲が無くとも、不思議に、朝からぺろりと食べてしまう「おむすび」です。