本書の特徴として、次の三点が揚げられます:
1. PHP5にversionを絞り、install手順の詳細(SQL DBSを含め)は適宜カット、膨大な数の関数reference集であることはやめ、PHPプログラミングの実務的勘所だけを要領よくまとめた、
2. テキスト入力のsanitize法に触れ、簡単入門書にありがちな「動かすだけで精一杯でセキュリティ配慮まで余裕がまわらない状態」を脱している。
3. 訳本では、原本にない日本語処理第14章を導入、mbstring関数によるマルチバイト文字列処理を紹介している。
1/2の執筆方針のおかげで、本書は短期間で読破できる厚さに収まっています。その結果、たいていの読者は、PHPプログラミングの大まかなところを挫折せずにつかんで、次のステップ(たとえば、O'ReillyのほかのPHP本。ただし邦訳が出ていないものが多いけれど)に進むことができると思います。
3の日本語対応については、邦訳チームの努力は評価するものの、このさい、さらに一歩ニ歩踏み込んでもらいたかったところです。たとえば、私の誤解でなければ、SimpleXMLは多バイト文字を扱えるけれども、そのパース出力はUTF8に設定されていて、これは変えられないのだと思います。よって、sjis/ujis環境でPHPつきserverにて日本語を含むXML文書をパース-表示させようと思うと、mb_convert_encodingを介してやらないといけません。また、MySQL 4.1 + PHP使用時の日本語文字化け問題はあまりにも有名です。こちらは、どちらかを言えばPHPの咎ではないけれども、現状ではPHP運用の側からwork-aroundしてやらないといけない点があるわけです - たとえば、接続直後に$db->query("SET NAMES ujis")を呼ぶ。この二点は、せっかくO'Reilly本の「日本語化」を目指すなら、是非はずして欲しくなかった所です。蛇足ながら、原書の英語の冗談の翻訳にも、若干苦労のあとが忍ばれます。が、それは技術コンテンツとはあまり関係ないから忘れることにします。
以上により、やや辛目の採点で星3.5、四捨五入で星四つとします。