本書のすばらしさは、すでに多くのレビューがあることから明らかでしょう.
そこで、気になった点を2点ほど.
(1)「改正案」が前提となっている点.
各論の一部においては、第162回通常国会で廃案となった「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の改正法案」の内容を前提に執筆されています.
したがって、現時点(2011/1)では存在しない法律についての解説がいくつか含まれています(本書末尾の条文索引をご覧ください).
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例えば
・わいせつ物保管罪(刑案175条1項.現175条1項に「保管」はありません.本書427頁)
・不正指令電磁的記録に関する罪(刑案168条の2.新設の条文です.本書423頁) 等々…
この点は、デメリットとも感じられそうですが、殊に後者の罪(要はコンピューターウイルス作成罪)は、2011年の国会でも提出が予定されるなど、たびたび議論にあがっている問題です.有意義な記述であることに疑いはありません.
(2)たまにクセのある自説が現れる点.
いちいち指摘はしませんが、山口先生の「
刑法総論 第2版(2007年・有斐閣)」・「
刑法各論 第2版(2010年・有斐閣)」を参照しなければ、理解できないであろうと思われる箇所があります.